第3話 新しい関係
「んっ!?」
驚いた反応を見せたのはシュカの方だった。
だが、すぐに受け入れるようにして――むしろ欲するようにキスを交わす。
それこそ、舌を絡めるような口づけ。
初めてするからこそ、これが正しいのか分からない。
けれど、悪い気分はしない――むしろ、気持ちがいいと感じた。
しばらく時間が経って、唇を離して、お互いに顔を合わせる。
シュカはうっとりとした表情をしていたが、みるみるうちに顔がまた赤くなって、
「あ、そ、その、すみません!」
謝罪の言葉と同時に、距離を取る。
エミナも今、自分で顔を確認することはできないが――熱くなっているのは感じる。
「キスしたのはわたしからだし……それで、どう?」
「ど、どうとは……?」
「その、今のでよかったの?」
エミナは確認するように尋ねる。
ただ、口づけを交わしただけ――それ以上のことはしていない。
問われたシュカは、少し悩んだ様子を見せながら、答える。
「もう少しだけ、いいですか……?」
それは、またキスの誘いだ。
そうして――今度はシュカの方から口づけを交わす。
――どれくらい時間が経っただろうか。
気付けば、互いに身に着けていた衣服まで脱ぎ捨て、ベッドで隣同士で眠っていた。
(久しぶりに顔を合わせて、こんなことになるなんて……)
まだ少しぼうっとした頭で、隣のシュカに視線を送った。
彼女と目が合って、
「……私の護衛になるって、こういうことなんです」
こういうこと――守るだけではなく、今のような行為が必要となる。
彼女が聖女として活動するために、ただ守るだけではない。
だからこそ――エミナが求められているのだろう。
つまりは、シュカはエミナに対して発情している――その事実はすでに理解できているからこそ、
「断るなら今からでも――」
「うん、わたしはあなたの護衛になるよ。そのために、ここに来たんだから」
「!」
シュカは少し驚いた表情を浮かべていた。
むしろ、ここまで受け入れて断るなんてするつもりはない。
聖女となった彼女が発情している事実は、当然表向きには秘匿されるべきことであり――その相手として選ばれたのは、すなわち信頼の証だ。
ただの護衛としてだけではない――エミナは、シュカに全てを求められている。
聖女の護衛として、幼馴染との新しい関係が始まった。
聖女になった獣人幼馴染の護衛に選ばれたけど、どうやら発情期を迎えたらしい 笹塔五郎 @sasacibe
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