第4話
解散となったところで、由紀子の父親が倒れた。原因は皆その場ですぐ察した。すぐに立ち上がるだろうと思っていたがなかなか立ち上がらない。これはまずいと思った美代子たちは部屋から出て行ったばかりの医師を呼び止めた。事情を聴いた医師はストレッチャーをもって看護師とともに駆け付けた。駆け付けたころも変わらずぐったりとしている。医師はすぐに検査室へと運んだ。結果、倒れて頭を強く打ったことによる脳震盪だった。様子見のためしばらく入院することになった。もちろん担当が違うため病棟は別々になった。大事な扱いになり、皆は固まってしまった。続くこと3分後由紀子が一人笑い出した。何事かと皆は焦り始めた。代表して由紀子の母親が理由を聞くと、「私の病状がこんな急に良くなるとか信じられない。こんなの神様からの贈り物に違いない」と返ってきた。それを聞いてその場の空気は緩くなった。由紀子の母は予定があるとのことでここでお別れになった。由紀子は部屋に戻ることになった。美代子たちも由紀子についていくことになった。由紀子の部屋につくと美代子たちは真っ先に由紀子に抱き着いた。由紀子は喜んで受け入れた。
「由紀子さんが生きててくれて嬉しいわ。でも、退院したらお別れなのよね。寂しくなるわ」
そう、由紀子は1週間後退院が決まった。
「美代子さん、ゆうきさん待って、お別れにはなりませんよ。私たち3人は辛い時を乗り越えてきた大親友ですから」
この言葉に2人は泣いてしまった。何よりも親友と思われていたことに感激を受けたからだ。それから3人は面会終了時間まで話した。
1週間後
「由紀子さん退院おめでとう」
「ありがとう」
めでたく退院する日になった。朝一で顔を出しに美代子たちは行った。10時退院とのことだったのでもうすぐ退院の時間になった。話がひと段落ついたころに由紀子の母親が迎えにきた。
「由紀子、お迎えに来たわよ。あら、美代子さんにゆうきさんおはようございます。良かったらお二人も一緒にどうぞ」
「あら、よろしいのですか」
「ええ、実はここ最近の様子を見ていて3人一緒のほうが安心するんです。それで提案なんだけど由紀子と3人生活してほしいの」
「「ええ、勿論、喜んで」」
こうして退院後も3人は一緒にいることになった。
余命宣告から始まる物語 ビル @marrs
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