EITOエンジェル総子の憂鬱(仮)46

クライングフリーマン

人情

 ====== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 南部(江角)総子・・・大文字伝子の従妹。南部興信所所長の妻。EITOエンジェルのチーフ。

 南部寅次郎・・・南部興信所所長。総子の夫。

 大前英雄管理官・・・EITO大阪支部の管理官。コマンダー。総子からは『兄ちゃん』と呼ばれている。

 足立祐子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 石動悦子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 宇野真知子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 丘今日子・・・EITO大阪支部メンバー。看護担当。元レディース・ホワイトのメンバー。

 河合真美・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 北美智子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。現在は休暇中。

 久留米ぎん ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトの総長。EITOエンジェルス班長。

 小峠稽古 ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 和光あゆみ・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 中込みゆき・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 海老名真子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 来栖ジュン・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7の総長。EITOエンジェルス班長。

 愛川いずみ・・・EITO大阪支部メンバー。EITOエンジェルスの後方支援担当になった。

 本郷弥生・・・EITO大阪支部、後方支援メンバー。

 大前(白井)紀子・・・EITO大阪支部メンバー。事務担当。ある事件で総子と再会、EITOに就職した。

 神代チエ・・・京都府警の警視。京都府警からのEITO出向。『暴れん坊小町』の異名を持つが、総子には、忠誠を誓った。

 芦屋一美(ひとみ)警部・・・大阪府警テロ対策室勤務の警部。総子からは『ひとみネエ』と呼ばれている。

 用賀(芦屋)二美(ふたみ)二曹・・・。三つ子の芦屋三姉妹の次女。陸自からの出向。総子からは『ふたみネエ』と呼ばれている。オスプレイやホバーバイクを運転することもある。後方支援メンバー。

 芦屋三美(みつみ)・・・芦屋グループ総帥。EITO大株主。芦屋三姉妹の長女で、総子からは『みつみネエ』と呼ばれている。芦屋三姉妹と総子は昔。ご近所さんだった。


 小柳警視正・・・警視庁から転勤。大阪府警テロ対策室室長。

 佐々一郎・・・元曽根崎署刑事。横山と同期。大阪府警テロ対策室勤務。

 花菱綾人・・・南部興信所所員。元阿倍野署刑事。

 横山鞭撻・・・南部興信所署員。元大阪府警刑事。

 指原ヘレン・・・元EITO大阪支部メンバー。愛川いずみに変わって通信担当のEITO隊員になった。

 用賀哲夫空自二曹・・・空自のパイロット。EITO大阪支部への出向が決まった。二美の元カレ。

 幸田仙太郎・・・南部興信所所員。総子のことを「お嬢」と呼ぶ。

 倉持悦司・・・南部興信所所員。

 真壁睦月・・・大阪府警テロ対策室勤務の巡査。


 =====================================


 = EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す =

 ==EITOエンジェルズとは、女性だけのEITO大阪支部精鋭部隊である。==


 午後5時。EITO大阪支部。会議室。

 皆が、帰り支度を始めた頃、マルチディスプレイに小柳警視正が映った。

 かなり、怒っている。

 後方で、真壁と一美が、何やらジェスチャーで伝えているので、大前は、軽くウインクした。

「何だ、大前君。ウインクなんかして気持ちの悪い。」

「あ。すんません。『めばちこ』ですわ。それより、急ぎの・・・。」

「ああ。海遊館で拳銃持った男が見物客を人質に取って、何やら喚いているらしい。更に、まずい事に、吉本知事の奥さんと娘さんが。その見物客の中にいる。110番通報があって、警察官が行ったが、どうやらモデルガンではないらしい。頼むぞ。」

 真壁と一美が、拝むポーズをした直後、マルチディスプレイが消えた。

「しゃーないな。総子。編成して向かってくれ。」と、大前は言った。

「ああ。今日は、日曜日か。時間の感覚がおかしなってるわ。」と、稽古が言った。

「用賀君。現地行ったら、いつでも出られるようにホバーバイクの待機や。」と、大前は用賀に言った。

「了解しました。」用賀は、皆の後を追って出た。

 ホバーバイクとは、民間が開発した『宙に浮くバイク』で、EITOが採用、改造して運搬や迎撃に利用している。

 午後6時。港区。海遊館。

 海遊館は、世界最大級と言われる施設である。ニックネームまで付いた海洋生物も水槽の中で泳いでいる。

 午後4時過ぎに、吉本知事の奥さんである千春の仲良しグループが帰ろうとしたら、ジンベエザメの水槽の前に男が現れ、拳銃で脅しながら、仲良しグループをロープの輪で括った。

 本来なら脱出出来そうなものだが、皆恐怖で言いなりになった。男が、床に一発撃ったから、本物に違い無いと判断したから、身動き出来なくなった。

 男は、縮み上がっている、他のグループにも輪をかけた。

「どうもー!」と言って自ら拍手をしながら、男の前に女が2人現れた。

 総子と小町である。2人は、EITOエンジェルの格好にも拘わらず、本物漫才師顔負けの漫才を始めた。

「ちょとお街でえーす。」

「ちょと小町でえーす。」

「姐さん、暑なりましたなあ。夏ですか?」

「夏日やから、ってすぐに夏が来る訳ないやろ。梅雨やがな。」

「梅雨ですか。」

「明日は、ニュウバイや。」

「いややわ、姐さん。巨乳オッパイやなんて、エッチ!!ウチはCカップです。」

「誰がオッパイのサイズのこと言うてんネヤ。よう聞きや。梅雨に入ることを『ニュウバイ』って言うんや。」

「そうですか。ほな、梅雨から出ると、『シュツパイ』ですか。」

「何でヤネン、梅雨から出る時は、『梅雨明け』て言うねん。」

「へえ。『入り口』と『出口』で、言い方違いますのん。けったいやなあ。」

 皆、2人の漫才に呆気にとられていた。勿論、犯人も同じである。

 ジュンのグループと、ぎんのグループは2手に分かれて、そっと、避難誘導をした。

 何故、漫才をすることになったか。それは、テレビでライブ中継を観た幸田がオスプレイにいる総子に電話してきたからである。

 午後5時半。オスプレイ。

「お嬢。たてこもり男の名前は、志藤六郎や。以前、浮気調査で、吉村新喜劇に入ったから、俺と倉持も入場したんやけど、吉村新喜劇が好きらしくて、ゲラゲラ笑ってたんや。」

 それで、総子の方針は決まった。総子と小町が惹きつけている間に人質を開放するのだ。

 午後6時15分。海遊館。

 漫才は、まだ続いていた。

「そこで。オッサンの頭、はたいたら、入れ歯がポーン、っと飛び出た訳や。」

「ポーンですか。ポロンと違いますのん?」

「細かいこと言いなや。兎に角、飛び出した入れ歯の歯アに挟まってた訳や。」

「そういう訳ですか。」「いちいち繰り返さんでエエ。これでボトルキャップの行方が分かって・・・。」

 漫才の途中だったが、総子は容赦無く、目の前の男にメダルカッターを投げた。

 メダルカッターとは、周りにプロペラ状(スクリュー状)の刃が付いているメダルで、主にけん制用に使われる。刃は付いているが、擦り傷程度しか残らない。

 続いて、小町がシューターを投げた。男の拳銃を落した。シューターとは、うろこ形の手裏剣で、先端に痺れ薬が塗ってある。

 男が拾おうとした時、やって来た二美のブーメランで弾き跳ばされた。

 それを、用賀が捕獲ネットで確保した。

 二美は、男の肩の関節を外した。

 用賀が、長波ホイッスルを吹いた。長波ホイッスルとは、犬笛に似た笛で、通常は聞こえない。警察に連絡する、簡単な通信機器としてEITOでは使っている。

「はいはい、来てますよー。」と、佐々ヤンこと佐々一郎刑事が警察官を連れてやって来た。

 二美と総子は、メダルカッターを探していたが、すっと差し出す女の子がいた。

 女の子は、両親の元に駆け寄った。吉本知事の娘だったのだ。親子3人、総子達にお辞儀をして帰って行った。

 犯人の志藤は、総子に「わざわざ、ありがとうございました。」と礼を言った。

 午後8時。総子のマンション。

「幸田の話では、現場に踏み込んで不倫が確実になって、自棄を起こしていたらしい。問題は、誰が拳銃を渡したか、やな。明日、花ヤンと横ヤンに調べて貰うわ。」と、襲い夕食を食べながら、南部は言った。

「小柳さんが、立てこもりのことで出動要請してきた時、何か怒ってみたいやから、兄ちゃんに聞いたら、小町がナア、ホントは期間限定やったらしい。ところが、今朝になって、期限なしって言って来たらしい。ウチは人数多い方がエエし、皆とも仲良くやってるから文句ないけどな。」

「小柳さんは、反対してたらしいな。京都府警は、厄介払いした積もりやろ。ところで、漫才の台本、誰が書いたんや。まさか、高遠さんに頼んでないやろ?」と、南部が問いただすと、「幸田から新喜劇のファンって聞いたから、ノリちゃんに頼んだ。ああ見えて、以前の脚本一般公募の時に応募した経験があるんや。」

「犯人の志藤もビックリしたやろな。いきなり、寄席ワールドやから。」と、南部は笑った。

「うん。なるべく、皆の前で闘いたくなかったんや。ウチ、疲れたし、今日は堪忍したるわ。」「そうか。」

 南部は、内心、「そうか、おおきに。」だった。このトシで踏ん張るのは大変なのだ。

 ―完―

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EITOエンジェル総子の憂鬱(仮)46 クライングフリーマン @dansan01

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