「ウルトラセブン」に落とした戦争の影

高柳孝吉

「ウルトラセブン」に落とした戦争の影

 昔のテレビ📺️ドラマ、早い話が「ウルトラセブン」なのですが(笑)、こぼれ話を。ーーしかし重要な深い意味を含んだ話を記そうかと想います。ーー今年で放送開始から55周年を迎えたこの作品、実はのちに映画の大監督になる事になる実相寺昭雄さんら監督、脚本に実にそうそうたる顔ぶれが揃っていたんですね。ーーで、話のの根幹なのですが、実はこの「ウルトラセブン」という作品には第12話が存在しない、というかリアルタイムの放送だけでその後二度と放送される事はなくなった、といういわく付きの作品なんです。勿論DVDにもあまつさえ55周年の今年発売された記念4Kデジタル修復版にも収録される事はなかったのです。ーーいったい何がこの第12話に起こったのでしょう?ーーこの「ウルトラセブン」、放送開始がちょうど俺の産まれた年と同じ昭和43年。良く考えたら終戦からわずか20年ですか、それしか経っていなかったんですね。で、勿論俺も観る事は叶わなかったのですが、実はこの第12話には、原爆の影響を受けた星人が出て来た、というのです。ーー問題はここからです。放送時は特に問題にならなかったそうなんですが、悪い事にその何ヵ月か後の子供雑誌に「"被爆"宇宙人スペル星人」という表記がなされてしまったらしいんです。それを読んだ(読んだんかーい(笑))大人達が猛烈に批判、そういった経緯があって、円谷プロダクションも圧力がかけられ止む無く再放送時の放映は中止、なんとそれから55年経ったこんにちでもBlu-ray化は一切されず、ネガはちゃんと残っているにもかかわらずですよ、それこそ野球で言う「永久欠番」となった、という訳なんです。当時さっきも言ったように戦後僅か20年足らずですか、こんなところにまで戦争の影が、B-29爆撃機エノラゲイの落としたたった一発の爆弾が、深い影を落としているんですね、それもいまだに...。


 大変長くなりましたが、今回は「ウルトラセブン」に関する逸話でした。(ウルトラセブンの話なら明るくなるだろふつー(笑)ーーいーえ、実はウルトラセブンには色々深いテーマが随所に含まれていて、単純に子供向け娯楽番組の範疇にはくくれ無い、大人の鑑賞に耐えうるものがあるんです)。

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