第13話

 それから数週間、凛香りんかは日々の瞑想と修行に励みながら、学校生活を続けた。

彼女の力は徐々に成長し、周囲の霊的な存在との絆も強まっていった。

白玉しらたま火伏ひぶせも、彼女の成長を見守りながら助言を与えていた。

ある日、学校で不思議な出来事が起こった。

突然教室の空気が重く感じられ、凛香りんかは異様な霊的エネルギーを感じ取った。

彼女は注意深く周囲を見回し、そのエネルギーの源を探った。

すると、クラスメートの一人である佐藤さとう 有馬ゆうまが異常に落ち込んでいるのを見つけた。

昼休みになり、凛香りんか有馬ゆうまに声をかけた。「佐藤さとうくん、何かあったの?元気がないように見えるけど…」

有馬ゆうま躊躇ためらいながらも答えた。

「実は、家族のことで悩んでいるんだ。父親が病気で入院していて、母親も仕事で忙しくて…家のことがうまくいってないんだ」

凛香りんかは彼の話を聞きながら、彼の周囲に不穏な霊的な気配を感じた。

佐藤さとうくん、大丈夫。私が力になれるかもしれない。君の家に行ってみてもいい?」

有馬ゆうまは驚いた顔をしたが、凛香りんかの真剣な表情に心を打たれ、頷いた。

「ありがとう、みなとさん。家に来てくれるなら、嬉しいよ」

放課後、凛香りんか有馬ゆうまの家に向かった。

白玉しらたま火伏ひぶせも彼女をサポートするために一緒に行くことにした。

有馬ゆうまの家に到着すると、凛香りんかは家全体に漂う重苦しいエネルギーを感じ取った。

「これは…」火伏ひぶせが低くつぶやいた。

「病気だけではない。何か邪悪な存在がこの家に影響を与えている」

「そうだね、火伏ひぶせ凛香りんかうなずいた。

「私たちで何とかしよう」

凛香りんかは瞑想を始め、家の中の霊的なエネルギーを浄化するための力を引き出した。

白玉しらたま火伏ひぶせも彼女の周りに集まり、霊的なサポートを提供した。

やがて、白玉しらたまたちから放たれた光が家全体を包み込み、邪悪な存在を追い払った。

すると、有馬ゆうまの家に漂っていた重苦しい空気が一気に軽くなり、家族全員の顔に安堵あんどの表情が浮かんだ...

 その帰り道、凛香りんかは二匹に感謝の気持ちを伝えた。

「あなたたちのおかげで、私はもっと力を引き出せるようになったよ。ありがとう」

凛香りんか、お前の力は本当に素晴らしい。これからもたくさんのニンゲンを助けるぞ!!」

そう言って白玉しらたまは頷いた。

「そうじゃ。お前の旅はまだ始まったばかりだ。これからも共に歩んでいこう」

火伏ひぶせも同意し、温かい笑顔で凛香りんかを見守った。

 その夜、凛香りんかはベッドに横たわりながら、今日の出来事を思い返していた。

彼女の心には、これからもたくさんの人々を助けるために力を使っていく決意が宿っていた。

自分の力を信じ、白玉しらたま火伏ひぶせと共に歩む未来を楽しみにしている凛香りんかは、深い眠りについた。

 次の日、学校で凛香りんかは再び霊的なエネルギーを感じることがあった。

今回は、学校の体育館にその源があるようだった。

昼休み、彼女は友人たちに事情を話し、一人で体育館に向かった。

体育館に入ると、そこには一人の生徒が倒れていた。

彼女の名前は神原かみはら 美咲みさきで、凛香りんかとは同じクラスだった。

美咲みさきの周りには、見えない何かが漂っているようだった。

凛香りんか慎重しんちょうに近づき、そのエネルギーを感じ取った。

美咲みさき、大丈夫?」凛香りんかが声をかけると、美咲みさきは薄く目を開け、弱々しくうなずいた。「何かが…私を取り囲んでいる…助けて…」

凛香りんかは瞑想のポーズを取り、内なる力を引き出した。

白玉しらたま火伏ひぶせも現れ、凛香りんかをサポートした。美咲みさきを取り囲む邪悪なエネルギーは次第に薄れていき、やがて完全に消え去った。

美咲みさきは息をつき、凛香りんかに感謝の気持ちを伝えた。

「ありがとう、凛香りんか。何が起きたか理解わかからないけど本当に助かったわ」

凛香りんか微笑ほほえんで答えた。

「大丈夫だよ、美咲みさき。私たちは友達だから、助け合うのは当然だよ。」

 その夜、凛香りんかは再び瞑想力を高めていた。

白玉しらたま火伏ひぶせの助けを借りて、彼女の霊的な力は日々増していくのを感じていた。

突然、白玉しらたまが口を開いた。

凛香りんか、お前の力は確実に成長している。だが、これからはもっと難しい試練が待っているかもしれん。」

「難しい試練?」凛香りんかは眉をひそめた。「具体的に何が待っているの?」

火伏ひぶせが深刻な表情で答えた。

「最近、ワシ等の感じる霊的なエネルギーが不穏じゃ。何か大きな存在が目覚めつつあるかもしれん。それは、お前の力を試すだけでなく、危険にさらすこともあるじゃろう。」

凛香りんかは少し不安そうに頷いたが、すぐに決意を新たにした。

「でも、私にはあなたたちがいる。どんな試練でも乗り越えてみせる。」

 次の日、学校では普段と変わらない日常が流れていた。

しかし、凛香りんかは常に周囲の霊的なエネルギーに敏感になっていた。

放課後、彼女は白玉しらたま火伏ひぶせと共に神社に向かった。

神社の境内けいだいに入ると、凛香りんかはすぐに異様な気配を感じ取った。

「何かがここにいる…」

白玉しらたまが前に出て警戒した。

「そうじゃ、凛香りんか。何かがワシ等を待っている。」

突然、目の前に巨大な影が現れた。

それは恐ろしい姿をしたあやかしだった。

火伏ひぶせが低くうなり声をあげた。

「これが目覚めつつある存在か…凛香りんか、注意せよ!!」

凛香りんかは深呼吸をし、自分の内なる力を呼び起こした。

「私は怖くない。みんなを守るために、この力を使うんだ!!」

凛香りんかの霊力で強化された光が白玉しらたまから放たれ、あやかしに向かってまっすぐに飛んでいった。

あやかしは一瞬ひるんだが、すぐに凶暴な形相ぎょうそうで反撃しようとした。

しかし、白玉しらたま火伏ひぶせが素早く動き、凛香りんかを守りながらあやかしに立ち向かった。

凛香りんか、ワシ等を信じろ!!」火伏ひぶせが叫んだ。

「お前のチカラは一人のものではない。ワシ等全員のチカラじゃ!!」

凛香りんかはさらに集中し、内なる力を高めた。彼女の周りから放たれる光はますます強くなり、あやかしを包み込んでいった。

あやかしは苦しそうにうめき、やがてその姿は消え去った。

「やった…」凛香りんかは息を切らし目の前が段々と暗くなっていったのが感じた。 

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記憶のモノ 海ちり @tetsuo-

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