時の盗人

加賀倉 創作(かがくら そうさく)

時の盗人

 生きていると誰しも、人の時間を奪う、という経験が少なからずあると思います。


 わかりやすい例で言うと、遅刻。


 それは、誰がどう見ても待たせた側は待たされた側に迷惑をかけているので、時間を奪っているのは自明でしょう。


 あとこれは半分余談ですが、遅刻を常習的にしてしまう人は、頭のどこかで相手のことを舐め腐ってると、個人的には思っています。


 (もちろん性格とか考え方以前に脳の機能の問題もあるかもしれません。該当する方を貶める意図はありません)


 でも、もっと、思わぬところで時間を奪いかねないんです。


 どう言うことか。



——人と関わることすなわち、相手の時間を奪うリスクを内包している。



 これだけだと意味不明だと思うので、もう少し詳しく説明します。


 人と関わる、つまり会って話したり、遊んだりしますよね。


 その時、同じ時を過ごした相手に満足してもらえないと、相手の時間を奪ったことになりかねないんです。


 どうすれば奪わないで済むか。


 自分は何かしらの価値を提供できているだろうか、と常に意識すればいいんです。


 うーん……まだぼんやりとしていますね。


 価値を提供するというのは、いろんな手段があります。


 お金を渡す、物を渡す、機会を渡す、話上手なら相手を笑わせたり唸らせたりできるかもしれないし、はたまた美男美女なら相手にとっては自分を見るだけで眼福かもれない。


 もちろん、関係を持つこと自体が価値提供になることはあります。


 自分が何かしらのコネクションになったり、シンプルに一緒にいると落ち着くとか、相手のことが好きとか、家族であるとか、さまざまです。


 で、価値の提供の手段、として確実なのが……


 『知識』であり、『情報』だと思うんです。


 知識を得る前後では、何かが変わるはずです。


 その何らかの変化が、『価値』な訳です。


 (もちろん、何かのネタバレとか、夜も眠れない怖い話とか、人によって知りたくない情報もあるでしょう)


 だから、私は知識にこだわります。


 その知識を、知識単体では済まさず、何かしらの考えや主張を織り交ぜたら、なお良いでしょう。


 同じ知識を提供しても、その提供者の思想や意図によって、知識の意味は変わってくるはずなので。


 そして、同じ時間を過ごした相手に、時間を無駄にしたと思って欲しくないから、何か一つでも新たなものを得て帰って欲しいから、私の場合、大量の情報を対話相手にぶつけます。


 それは、会話の場合も、こうやって文章に残す時も、一緒です。


 以上を、意識して話すか、書くかどうかで、関わる相手の満足度は変わり、関係構築の成功率も上がるのではないでしょうか。


 ※もちろん、相手が中身のある会話を求めていない、単に共感だけを求める会話を期待している場合は別ですし、あまりに価値提供のことを意識しすぎて、しんどくなってもよくないので、何も考えずに話せるやり取りできる相手も必要であることは、忘れてはならないと思います。

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