ごくごく普通の邪教の聖女

最終話、大海原は波静か

　教団の新しい支部が出来て、私は毎日麦酒を濃くする呪文を使っています。倉庫に麦酒が樽で入ってきて呪文をかけて出荷する。私からすると麦酒を半分にしているだけなのだけど売れる。ある程度ファンが出来ているようだ。教団の倉庫の排水設備を強化して建築して良かった。

　教団関係だと、隠しプールで半魚人さん達の大繁殖大会が行われた。御香を焚いて教団関係者の音楽隊が良いムードにしたのだけど。

　前世の明太子工場でスケトウダラの鳴き声聞いちゃったくらいの感動でしたね。プールの底に卵を産み、水が真っ白になる。教育番組を観ているようで何かちっともエッチじゃない。エッチな　音楽だけが空回りしている。ぱっと見て魚かカエルの産卵だから感想を言うのも何なのだけど、半魚人さん達からすると、集団お見合い、集団産卵、集団受精で初めての体験で好評らしい。そんなもんなの？

　水温計とジャグジー装置とプールの水をかき混ぜる機械を設置して３時間に１回水中の酸素が足りているか大人の半魚人を泳がせて確かめている。データをノートに記入させているけど無事に成長しているようです。早く孵らないかなあ。

　孵った！無事に全部孵った！やった！ぱっと見た目が人面魚だけど。ご飯の時間は職員に人気の仕事なんだけど。私には公園の池の鯉を思い出して微妙なので職員に任せている。

　半年経った頃、神官長様が隠しプールを観たいとやって来た。１メートルくらいになった子供達を嬉しそうに見て目を細めていた。

「ルカさん、貴女を教団の聖人に勧めました」

「えっ、何で！？」

「卵が全部孵ったからです、次も同じ事が出来ますよね」

「きちんと記録に残しているので、同じ設備さえあれば出来ます」

　風向きが変わった気がする。

私は世界で初めて半魚人の養殖に成功してしまった（・・・・・・・・）のか。

　この星は陸より海の方が多いから、実質この星は大いなるお方のモノだ。寝ているのでベッドみたいなものだけど。

　その後の事を少し書こう。

　隣国は周りの国に齧られて国土が減った。

　しばらくはオトナシクしている事だろう。

　暴れたら首都は水没しかねないですし。

　半魚人の赤ちゃんは身長１メートルくらいに成長して可愛い盛りです。

　次回の繁殖期に向けて各地の教団の施設に隠した室内プールを作るようです

ジャグジー風呂施設は今一つですがジャグジーの設備は貴族に売れています。

　今後、半魚人が暴力的に増えるので大型船への派遣数が増えるそうです。教団の船も増やすそうです。

　体内の魔石とペンダントの魔石で魔法は沢山使えるそうですが。魔石の埋め込み手術の影響で産卵も妊娠も難しいそうです。

　教団の職員も仕事を覚えてきたので、堂々と遊びに行けるようになったかな？

　そろそろ、アレックスさんを連れて各地の名産品（主に肉）を食べに行くか。

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　これまでお読み下さってありがとうございました。

半魚人の養殖に成功して、肉も好きなだけ食べられそうになれました。ラヴクラフトコメディになっていたら喜ばしいです。また何処かの話でお会いしましょう。