KT社の思い出

 ここまで「奥遠の龍」を記載してきまして、大変好評をいただいておりまして、非常に嬉しく思っています。

多数のレビューもいただき、毎回感想もいただき、とても励みになっています。

また直接収入という形でギフト応援いただける方も多数おられまして、本当に頭が下がりっぱなしです。


 そんな有難い状況ではありますが、一つだけ気になっていた事がありました。

これまでレビュー文が無かったんです。

どんな作品が好評を得ているのかとランキングをたまに見るのですが、上位の作品はどれも自分の紹介文の下にレビュー文が入っていました。

「奥遠の龍」はそこが空白だったんです。


 先日、その空白の部分にレビュー文をいただく事ができたのです。

これがまた、たまげるほどの名文で。

こんな名文を本当にいただいてしまって良いものなのかと不安になってしまいました。


 そんな立派なレビュー文を見ていたら、私も何か書いてみたいと思うようになり久々に雑記の方を書いてみる事にいたしました。



 今回のお話はKT社の思い出の話です。


 「奥遠の龍」の中に商品名は出さずとも「部隊を動かすゲーム」という感じで度々主人公たちがプレーしていたゲームの話が出てきます。


 まず冒頭三人の紹介で出てきた「戦国時代のゲーム」、これは多くの人が想像したと思いますが「信長の野望」シリーズです。

戦国時代の大名となって全国統一を目指すシミュレーションゲームの中でもストラテジー(戦略)ゲームに属するゲームです。


 第一作目の発売は1983年なのだそうです。

ちょうどファミコンが発売になった年ですね。

たしか以前KT社の出版していた書籍で読んだ話ではカセットテープを通信販売していたのだそうです。


 この初代は中部地方と近畿地方の大名しか選べなかったようで、それを全国に拡大したのが第二作目の全国版なのだそうです。

三作目の戦国群雄伝では、それまで大名しかいなかったところに武将が登場するようになりました。


 私とKT社のゲームの出会いはこの戦国群雄伝でした。

しかもゲームの事は良く知らない上にあまり興味も無く、たまたま本屋で見つけた「武将FILE」という本を購入してからです。

今のようにWikipediaで武将の名前を入力すればすぐに調べられる時代とは違いますからね、戦国時代を知る入門書として実に最適な一冊だったわけです。

後に発売された武将FILEはゲーム内の画像をそのまま載せているのですけど、この武将FILE第一弾はイラストなんですよ。

それがまた良かったですね。


 戦国群雄伝は実は東北と九州がカットされていました。

そこが追加になりシステムが全国版に近くなったのが四作目の武将風雲録。

これも確か買ったのは武将FILEの方が先だったと思います。

この武将FILEのおかげでそれまで知識として空白だった地域が埋まった感じでした。

島津、大友、伊達というあたりの知識ですね。


 その頃には光栄の出版物は基本見かけたら買うという風になっていましたね。

三國志、提督の決断、水滸伝、ランペルール、蒼き狼と白き牝鹿、源平合戦、項劉記等々。

ゲーム攻略の記事なんかより、武将の解説や、時代背景の解説が読んでいて大変楽しかったんですよ。


 もしかしたらこの奥遠の龍を書く事になった源流は天翔記の武将FILEにあるかもしれません。

あの本で数多のマイナー武将の列伝を読みましたから。



 信也が言っていた一騎当千のゲーム、これもすぐに想像がついたと思います。

「無双」シリーズというゲームです。


 初代の三国無双は単なる対戦格闘ゲームでしたが、二作目の真三國無双から全く新しい1対多というアクションゲームになりました。

アクションゲームという時点で敬遠していたのですけど、友人の家で真三國無双2をプレーしてからその面白さに気付き、気が付いたら何時間もプレーしていました。

……そのせいでいったい何個のゲームパッドを壊したことやら。

左のアナログスティックが倒さなくても倒れた状態になってしまうんですよね。


 最初はこのシリーズ、本当に面白かったんです。

自分の活躍によって味方が活気づいてくれて戦況が覆せるという、あのCPUと一緒に戦場で戦っている一体感が。

ところがいつの頃からか、味方がやられる前に、もしくは味方がやる前に敵を全滅させるだけの大雑把なゲームになってしまって。

なおかつ士気ゲージまで廃止になってしまって。

そこからでしょうね、このシリーズをやらなくなってしまったのは。



 宗太が言っていた「部隊を動かすゲーム」というのは、もしかしたら知らない方が多いかもしれません。

プレステ2が発売になる時にKT社が新しいシリーズをと新規投入した「決戦」というシリーズです。


 初代の「決戦」は関ケ原の戦いをモチーフとした作品。

「決戦2」は三國志がモチーフ。

「決戦3」が織田信長の数々の戦役がモチーフ。

宗太は「信長の軍団」と言っているので「決戦3」の事になります。


 各部隊には大雑把にここにいけという感じの指令しか出せません。

敵の部隊とぶつかると戦闘になります。

内容はだいぶ忘れてしまいましたが、無双アクションのようなパートもあったような気がします。

かなり前半のマップではあるのですが、長篠の戦いで馬房柵に進軍を妨げられている間に鉄砲を撃ちまくって武田軍が次々に消えていくというのが実に楽しかったです。

その間に本隊は山間から本陣を突くんですよ。

このシリーズはKT社の作品群の中でも特に続編を希望したいシリーズですね。

あとは提督の決断、水滸伝、チンギス・ハーン、源平合戦でしょうか。



 友江が言ってるゲームセンターのゲームはセガの「戦国大戦」です。

手前にカードを置く画面があって、その上に戦況を表示する画面があって、カードを前後させると戦況の中の部隊がそれに合わせて動いてくれるという感じのゲームです。

似たような感じでサッカーや競馬のゲームもありました。

発売は2010年という事ですから、格闘ゲームが下火になって、ガンダムのアクションゲームも下火になり始めて、徐々にゲームセンターが集客に苦労しだした頃のゲームですね。


 それまでこういうカードゲームというのは、UNOのようなテーブルゲームや人生ゲームのようなボードゲームの印象が強かったのですけど、それをカード収集させてビデオゲームと融合させようという発想に非常に驚いたのを覚えています。

さらにプレイヤーは手元の画面で楽しめて、観客は上の画面で楽しめるという二つの楽しみ方を提供しているのも画期的でした。

次世代の玩具だなって感じましたね。

……残念ながらゲームセンターと共に廃れてしまいましたが。



 廃れてしまったといえば、KT社の出版部門。

どこかの社内改変でどうやら出版部門は無くなってしまったみたいです。

私は本当にあの会社の出版物が好きで、爆笑シリーズは多分一作目の三國志から全部買ったんじゃないかと思っています。

前出の武将FILEだけじゃなく、ハンドブックもゲームを持っていないのに買ったものまであります。

ゲームパラダイスもよく買っていました。


最後に買ったのは三國志武将大名鑑でしょうか。

三國志発売30周年記念のロゴが入っています。

確か最初に信長の野望の武将大名鑑が発売になって、三國志物も出たら読んでみたいと思っていたら発売になったんです。


 個人的にかなり心配していたんです。

実はその頃、KT社から発売される本が極端に少なくなっていったんです。

この三國志武将大名鑑を見た時に、もしかしたらKT社は出版部門を閉める気かもしれないと不安を感じてはいたんです。

見てすぐに気が付いたのですが、関羽の顔グラフィックの一枚が呂蒙のものになっていたんです。

ページを開いて数ページ目、それも特集ページのグラフィックですよ?

後の方の卞喜とかならまだわかります。

特集ページのそれも関羽のグラフィックでそのミスはありえないですよ。


 つまりは校閲がまともにやれなかったという事だと思うんです。

ぱらぱらと眺め見て数分で気付く様な事が見落とされているんですから、よほど人員を減らされたのだろうと感じたんです。


 その後、信長の野望の新作が発売になったのですが、公式ガイドブックが角川さんから発売になった事でKT社の出版部門が無くなったらしいと言う事を知りました。


 正直ショックでした。

某社の帯ではありませんが、「大丈夫! KT社の出版物だよ!」という感覚でしたから。



 私は戦国史が大好きです。

その出会いは間違いなくKT社にあります。

戦国史というものにどっぷりと引き込んでくれた事には感謝しかありません。

そのおかげで趣味と呼べるものができて、その後どこに旅行に行っても非常に楽しい思いができましたから。


 できる事ならもう一度出版部を復活させていただきたいなって思います。

もっと多くの人に自国の歴史に興味もってもらえれば弥助問題のような事が起きないようになると思うのです。

一人でも多くの子供たちに歴史って面白いものなんだと気付いてもらえるように、もう一度爆笑シリーズのような本を出していただきたいなって思います。

難しいとは思いますけど……

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奥遠の龍・雑記 浜名浅吏 @Hamana_Asari

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