【第11話】「ただの高校生だった俺に許嫁ができたので、溺愛してきていた姉と妹と幼馴染を振り払って恋愛します!」
灯火(とうか)@チーム海さん
第11話
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「とりあえず、近場の水族館でも行きましょう。」
「お、そんなところあるのか。」
そんな会話をしたのは、およそ20分前のことだろう。車で1時間。それは近場とは言わない。
「まだか?」
「まだですね。」
「嘘でしょ?」
「本当ですね。」
明らかに遠い。まだかよ。
「あ、着いたみたいです。予定より30分早いですね。」
「あと30分もあったの⁉︎」
車から降りると、ガイドさんがきていた。
さすがの財力。
「では、案内します。」
「お願いします。」
ガイドさんをわざわざつけるとは…
そのあと、館内に入るとアナウンスが入った。
『まもなく、イルカショーが始まります。場所は……』
「あ、イルカショーがあるんですね。」
「本当だ。って、あと少しで始まるじゃん!」
「本当ですね。先に向かいましょうか。」
「うーん。流石に座席が埋まってたか…」
「もう、始まる直前なので仕方ないですね。」
「あ!あそこ空いてるぞ!」
「最前列ですか… まあいいでしょう。」
最前列には、ガラスも何もなく直接見えるようになっていた。
よく見えるな。
そして、5分ほど待っているとイルカショーが始まった。
「「きゃ!」」
イルカから、大きな水飛沫が飛んできた。
完全に忘れてた。そうだった、最前列はカッパが必要だった。
ガイドさんがなぜか待っていた大きめのタオルを借りて凛の服を拭いていると…
「あれ?匠くん?」
隣の席から声がかかった。
「え?誰?」
失礼かもしれないけど、どっちもわからない。
「あぁ、いつも遊んでるから顔も知ってるもんだと思ってたよ。」
いつも遊んでる…?誰だ?余計にわからなくなったぞ…
「僕は、風見双葉。確か、あなたのお姉さんの彼氏が僕の姉だったはず。」
「えぇ!」
「あはは。そんなに驚かなくてもいいんじゃないかな。」
「ところで、そっちは?」
「あぁ、えっと…」
「私は響。初めましてかな。」
「へぇー。初めまして。」
「あ、そうだ。服大丈…ヘックション!」
「ちょっと、匠。あなたが風邪ひくわよ。」
「ヘックション!ヘックション!」
結局、しばらくくしゃみでうまく動けなかった。
え?凛の濡れた服?
もちろん、ばっちり拝みましたけど?
「見てください、匠。エイが可愛いですよ。」
ちなみに、凛は好みがめっちゃ、独特だった。
「ただいまー!」
「おかえり、たっくん!いつも遊んでる響さんと双葉にあったんだってね!」
「あぁ、その響さんって誰なの?」
「え?知らないの? ほら、あの厨二病みたいな人。」
「は?」
え? 嘘でしょ?
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