【リレー小説企画】ただの高校生だった俺に許嫁ができたので、溺愛してきていた姉と妹と幼馴染を振り払って恋愛します! 第10話 わー、ひろいなー。
額田兼続
第10話 わーい、ひろいなー。
20分後。
「着きました、ここが私の家です」
「…………」
「匠?」
「わー、すっごーい。でっかーいおうちだなー」
「大丈夫ですか?匠?」
俺はその一言で目が覚める。
「あ、うん。大丈夫だよ?」
さっきまで俺は愕然としたあまり狂ってしまったようだ。
「ただいま」
「お、お邪魔しまーす…」
そして。
「わー、やっぱりひろいおうちだなー」
「匠?本当に大丈夫ですか?」
「あ、うんうん。ごめん、全然大丈夫」
毎回毎回狂ってしまいそうだ。
「洗面台使わせていただきまーす」
「どうぞ」
洗面台まで綺麗だ。
洗面台だけでも1000万円はかけてそうな程綺麗なタイルが敷き詰められている。
恐る恐る手を洗わせてもらい、顔も洗わせてもらう。
しかし、俺はある事を思い出した。
「やべ、歯ブラシ持ってきてないな」
「私の使ってるの、使います?」
「え!?」
いやいやいやいや。
間接キス(?)じゃんそれ。
まだ早いまだ早い。
「あ…えっと、大丈夫です…」
「それならこっち来てください」
凛が俺の手を引っ張る。
1分後、俺たちはダイニングテーブルに座った(座らされた)。
広すぎて気が遠くなりそうだ。
「わー、ごうかなたb…」
「匠…」
凛がさすがに呆れたという表情と声を出し、俺は引き締まった。
「親はどうしたんだ?」
「二人とも今は出かけています」
そうなんだ。
数分程食事会をしていると。
「…ケータイがさっきからうるさいですね」
「柚珠姉からか。もしもし」
俺はスピーカーをオンにした。
「匠ぃ!うっまうっま亭の五十嵐京さんって知ってる?」
「ああ、知ってるよ」
「勇斗の浮気相手、その人の娘だってぇー」
「知ってる」
「え!?」
「うん。凛が教えてくれた」
「そっか…美味しいよね」
「なにが?」
「うっまうっま亭のご飯」
「あ、うん」
一瞬、凛がムスッとした表情を見せた気がするが、気のせいだろう。
「今から食べに行かない?」
…は?
「いやいや、俺今デート中なんだけど」
「そうですよ。柚珠さんは匠といつでもいけるじゃないですか。だから彼氏に浮気されたのでは?」
凛がイヤミたっぷりの声で言う。
「そ、そんな事ない!勇斗は私の事…好きな…はず…だ…もん……」
「柚珠姉…」
結局、姉さん側から電話を切られた。
…なんか、悪いことしちゃったな。
凛に怒られそうだから、言わないでおくけど。
「まあ、顔を洗ったりも出来ましたし、デート本番に行きますか」
「そうだな」
今はまあ、柚珠姉の事は忘れて、思いっきりデートしよう。
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