第11話 勉強と猫とギャル


もう少しで小テストの日がやってくる。

私は昨日の蒼唯との出来事で勉強に集中できなくなっていた。

何で嫌いなはずの蒼唯とあんなに楽しくケーキを作って喋ってたんだろ。


「それはさー、蒼唯ちゃんのことが嫌いじゃないからでしょ~」


とさくは言ってたけど、だったら今の関係が続いてなかったんじゃって、思ってる。とりあえず今は、テスト勉強に集中しなきゃ。

深呼吸して一回落ち着く。



これから図書室でさくと勉強することになっていた。


「愛莉こっちこっち!」


声がした方にテーブルに座って手を振っていたさくが居た。

さくの前に座って鞄から教科書とノート、筆記用具を取り出してテーブルの上に置く。テスト範囲は中学の範囲の復習と最近習ったところを5問ずつ出題される。

中学の範囲って、どこが出されるか分からないから全く油断できないんだけどー。


「愛莉は復習と新しく習ったところ、どっちが自信ある?」


「復習問題よりはやっぱ最近習った方が自信あるよね」


「だよねー。」


とか愚痴をいいながら勉強を始めた。さくと交互に問題を出し合ったり、分からないところを教えあったりしていた。



「愛莉そろそろ休憩しよー」


「うん。疲れたぁ~」


定期テストでもない小テストを何でこんなに頑張ってるんだっけ?って虚無りそうになった。一瞬虚無りかけていた私を見てさくは笑っていた。


「ちょっとさく!何で笑ってるのー!」


「ごめんごめん!ちょっとね・・・あはは!」


「はぁー。まぁ、勉強に付き合ってもらってるからもういいや」


「愛莉ってば、拗ねちゃってー」


さくにはいつも助けてもらってる。ほんとありがたい。


「いつも私のこと助けてくれて、ありがと!」


「えっ?・・うん」


急に私が感謝の言葉を言ったから、さくがそっぽ向きながら照れている。かわい。

可愛いものって最高!


「テスト勉強もいいんだけどさ、そろそろ愛莉も部活決めなきゃだよー」


あっ、忘れてた。というか勉強勉強って考えすぎて他のことを考えてなかった!

部活ねー。・・・・・・・うーん。


「悩んでるなら私と家庭科部に入ろー」


「ふむ、家庭科部かー」


「ちなみに毎日部活に来なくてもいいよーって部長の甘味先輩が言ってた」


「文化部って言ってもコンクールとかあるのにそれっていいの?」


「甘味先輩が言うには、コンクールは強制参加じゃないから楽しめるときとか息抜きしたいとかそういう時に来てくれればいいよんって」


「そうなんだ」


気楽に楽しく色々作ったり出来そうでいいなー。


「それで愛莉の答えはー?」


「入る!」


「やった!」


嬉しそうに揺れているさくが可愛いっす。

こうして私は家庭科部に入ることが決まった。

ていうか勉強のことすっかり忘れてたけどやりすぎてもあれだしいっか。

その後も私たちはずっと話していたのだった。




翌日。

私とさくは食堂に向かっていた。

昨日の食堂に聖母さんがいたのに行けなかった的な話が聞こえた。そういえばそんな有名な人が居るってさくから前に聞いたことがあるけど、どういう人なんだろう。

いつか会えるといいなぁ~。


「お弁当忘れちゃったの痛いな~」


「私もなんで忘れちゃったんだろ」


私たちはがっくりとしながらも美味しいものを食べて切り替えることにした。

何食べよっかなー。可愛い系でそこそこ量があるものがあったらいいなと思って何があるか周りを見た。ちなみにさくは冷麺にすると言って買いに行った。


お?日替わり定食テーマ(猫)!?

みなさん、弁当を忘れた日には何か衝撃的な何かに出会うかもしれません(多分)。

テンションが上がった私は素早く列に並ぼうとした。

すると後ろから、


「もしかして同じクラスのあいっち?」


振り返ってみると髪型がストレート セミロングで茶髪なギャルの女の子が私の後ろで並んでいた。

私は突然のあいっちという言葉に驚いた。店の前にいるのは私たち二人だけだったので、何とか落ち着きながら早く相手の名前を思い出すことに集中した。


「えーっと・・・・確か同じクラスの胡桃さん?」


「うちの名前、覚えててくれたんだ!下の名前の桃でいいよ~」


思い出せてよかったー!!さく以外のクラスの子とも仲良くなりつつあるので、名前を憶えていた。


「もしかしてあいっちも猫ちゃん頼むの?」


「もってことは桃ちゃんも?」


「うち動物が好きだからいつもここの食べてるの。良いっしょ!」


はい、可愛いです。いいと思います。ギャルっていいなぁ~と私はほんわかとしていた。ここでずっと話しているわけにはいかないので、さっさと買って桃ちゃんと一緒に、待ってくれてるであろうさくの所に向かった。

さくと桃ちゃんは何回か授業で一緒にグループ活動したことがあるらしく、三人で仲良く昼食を食べることができた。


「今度遊びに行こうね~」


「「うん」」


と会話して別れた後さくと一緒に廊下を歩いていた。



廊下の窓から体育館の近くに二人ほど人が居るのが見えた。

いつもなら誰かいるなーって思っただけで気にしないけど、何故か無視できなかった。

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嫌いだったはずなのに。。。 すずりん @koorigasi

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