双子なんだもん
杠明
双子だから
4月11日
同じ中学の奴がいないだけでなかなかクラスで友人が出来ない。
中学はほとんど小学校の頃からの友人か
せめて実がいてくれれば……。
よりによって受験の時に限ってインフルエンザに罹るなんて。俺たちはいつも同じ病気やケガばかりしてたのにあの時に限って実だけ。
4月17日
このままじゃだめだと思い、テニス部に入ることにした。
今まで運動なんて体育以外してこなかったが「どうせなら」と思い全国大会に出ている実績もあるテニス部にした。
4月19日
1年生はほとんど雑用。聞くところだと1年生だけでも50人くらい居るはずだが見る限りだと10人程度、活動してから1週間もしないで8割も減ったのだろうか?
入る部を間違えたのかもしれない。
4月28日
実が最近冷たい。理由はわかっている。俺は県内でも屈指の進学校に何とか入ることが出来た。
しかし実はインフルで受験できずに仕方なしに偏差値の低い高校へと入ることになった。
当初は実も「仕方ないよ。
実際俺が合格できたなら実も合格できただろうとは思う。
5月15日
授業のスピードが早いし課題も多い。4月は教師も様子見で授業していたのだろうか、数科目は既についていけない。
部活も雑用に加えて終わりの見えないランニングをさせられている。
クタクタの身体に鞭を打ち課題を終わらせる毎日。しばらくは日記は書けないかもしれない。
5月22日
今日は大雨で部活が休みだった。家でテレビを見ていると腰掛けていたソファの隣に実が腰を下ろした。
しばらく無言でいたが実が口を開いた。
「学校でいじめられている」
久しぶりの会話、しかもその内容に内心とても動揺した。しかし今日までの実の態度で腹に据えかねていたこともあって「お前が悪いんだろ」と言ってしまった。
――数行真っ黒に消されている――
それでも実が話すことに耳を傾けているとどうやらAとBという二人が斜に構えている実の態度が気に入らないようで嫌がらせをしているようだ。
6月1日
幸い、というと実には申し訳ないが実がいじめられていることによって僕たちの仲は昔のように戻った。
やはり双子とはいえ僕は実の兄だ。それに卑劣なAとBを許される出来はない、
とはいえいったい僕には何ができるだろうか?
7月12日
実が死んだ。自殺だった。
7月19日
AとBは相応も報いを受ける。
学校側は二人を退学させてことを済ませようとしたが実の遺書がそれを許さなかった。校長は辞任したが担任はまだ何の罰も受けていない。
7月22日
いつまでも休んでいるわけにはいかない。久しぶりに学校で出た、さすがに周囲も奇異と同情の目で僕を見ている。授業ではほとんど当てられず、当然部活でもほとんど走ることが出来なかったが何も言われなかった。
7月26日
部活を辞めた。期末試験では下から3番目の成績だったが誰も何も言わない。まだ3か月程度だ。夏休みで追いついて見せる。
8月31日
予想に反して警察も誰も読まないのでここで終わることにする。
飽きた。
双子なんだもん 杠明 @akira-yuzuriha
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