第7話女帝

 地図通りにガブリエルとラファエルはミカエルの元へと向かった。


 良く地図の指す場所を見ると日香里の部屋の場所だった。


 (日香里がミカエルなのか?・・・)

 

 ふたりは日香里の部屋をノックした。


 「ようやく来たわね。待っていたわよ。」


 日香里はふたりを待ち構えていた。


 「お前がミカエルなのか?何故、地上界ヘ落とされると知りながら、俺を助けた。マリアをどうしたい。」


 「まったく鈍感な人ね。助けた理由なんて決まっているじゃない。ガブリエル、貴方を愛しているからよ。」


 ガブリエルの問に答えたミカエルの頬からは涙が落ちていた。そして嫉妬心が垣間見えるかのように、


 「慰め者と題してガブリエル、貴方の心奪った聖母マリアの息の根を潰したかった。」

 

 ミカエルが泣きながら叫ぶと次の瞬間、その場にあったナイフで心の臓を射抜いた。


 「ミカエル。しっかりして。このナイフで死んでしまったら、堕天使になってしまうのよ。」


 ラファエルは必死に止血を試みる。

 

 「やっぱりガブリエルは聖母マリアの事しか頭にないのね。聖母マリアを憑依させるくらいだもの。」


 愛されない悲しみでミカエルの心は溢れかえっていた。ガブリエルに愛されないのなら堕天使を選ぶつもりだ。


 ラファエルはガブリエルに言い放つ。 


 「ガブリエル。貴方なら、ミカエルを助けられるでしょ。」


 ラファエルは気づいていた。ガブリエルが大神ゼウスの化身だと。


 ガブリエルはミカエルの胸に手を当て念じた。


 「何故私を助ける。ガブリエル・・・いや大神ゼウス。貴方の愛しい聖母マリアを私は亡き者にしようとしたのだぞ。」


 ミカエルが虫の息で語ると、


 「俺・・・いや私を愛した者を堕天使なんぞにはしない。聖母マリアもミカエル、お前も私にとっては親愛なる者達だ。」


 ラファエルはガブリエルのその言葉を聴くと安心したかのように、


 「良かったわ。これで私はキリストを産める。」


 そうだ。ラファエルこそ聖母マリアだったのだ。


 こうして、ガブリエル、ミカエル、ラファエルの恋愛模様の幕は閉じた。


 

  




 

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陰と陽を持つ男 由比ヶ浜崇子 @mirai-ayumu

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