まだ若いが徳の高い僧侶と、宝を守る羅刹(無知で恐縮ですが、たとえるなら鬼〇の刃の鬼のような存在でしょうか?)が、罪とは何か、生きるとは何かを語らう短編です。
羅刹が宝物の存在を示唆してもかたくなに受け取らない僧侶の姿は、所有欲を否定する仏教の戒めを完全に体現しているように思わせられ、この人は修行を続ければさぞかし名のある高僧になるだろう……と感じさせられます。
そんな僧侶に対して、羅刹はどうも心が動いているようですが……。
まるで本当にどこかであったかのような精緻な語りにのめり込みました。史実ではないかもしれませんが、絶対にどこかであった歴史物語に違いない、というような感覚で受け取らせていただきました。
ありがたい話でした。合掌。