最終話 魔法の薬

少し路地に入ったところ。ちょっぴり寂れた一軒家。猫がこちらをチラ見してくぁとあくびをひとつしてとことこ中へ入っていく。


少し古めの一軒家。祖母の代に建てられた。


ここが魔法の研究所。僕が俗にいう魔法使い。


困っている人をちょっぴり助ける魔法のアイテム製作所。


な〜んて言ってるけど、本当はただの小さな工房。家の1階の1部を工房に改築したんだ。工房以外は販売所として使ってる。もちろん、ネットとか他のお店にも商品を置いてもらってもいるけどね。ああ、魔法使いは嘘じゃない。僕はちゃんと魔法を使える。例えば、人を笑顔にする魔法、とかね。


売ってる道具もちゃんと現代魔法を取り入れてるんだ。何を使ってるかは内緒だけどね。


僕は昔魔法使いに助けてもらったんだ。その時に魔法の薬の作り方を教えてもらった。大切なのは気持ち。自分が何を想ってどうしたいか、自分の気持ちに正直になること、相手のことをおもう気持ち。


道具によって必要な気持ちは変わってくる。でもね、道具だけじゃ悩みの全てを解決するのは難しいんだよ。


どうなるかは君次第さ。望みをかなえる道具を手に入れても、なかった方が幸せだと思うかもしれない。道具がなかったとかなんて考えられないと思うかもしれない。


でも、未来を選ぶのは君で、僕はその手助けをしたに過ぎない。


心配しなくても大丈夫。君が怖がりながら選んだ未来はきっととても素晴らしい未来だから。


おや、お客様がいらっしゃったようだね。


「いらっしゃいませ。何かお望みのものはありますか?」



                (完)


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魔法の薬 蒼天庭球@来年の大学受験のため休む予定 @soutennis206

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