原風景

洸慈郎

原風景

切り株で休むのツグミの読書会



流れ星 雲のベッドで添い寝する



盆休み線香見立てて煙草点く



菜畑やぴゃーと口笛どこまでも 



打ち水の波紋と戯る子猫かな



タンポポと紫陽花色の夕空や



秋寒やミルクコーヒーマグカップ



小説の栞の蝶が冬へ去る



スイッチをオフに変えると朧月



狭い地図歩いてみると広い町



アルバムを開けたら薫る水彩画



散りばめた押し花しぐる喫茶店



アイスクリームを食べたら 星の味がした



泣いたのは朽ちた平屋の風鈴か



春遅し服を選びて待ちぼうけ



朗らかな風が消し去る雪女郎



恵方巻き覗いて見えた海賊船



水没都市に張った氷を スケートシューズで滑ってく



押し入れで飛ばしたロケット月面へ



粉雪を蹴散らしてゆく夜行列車

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原風景 洸慈郎 @ko-ziro-

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