俳句といえば短歌より保守的で「客観写生、写実をもって旨とする」という意識がいまだに強い。
それは正岡子規や高浜虚子といった近代俳句の偉人達の影響力、そして季語と非常に短い定型とのもたらす厳しい制約によって必然的に生まれた意識なのかもしれない。
また、短歌は口語文法や現代仮名遣いによる制作が非常に盛んであるのに対し俳句は文語文法と歴史的仮名遣いがまだまだ強い。
特に「角川」といえば写実主義俳句の牙城というイメージがある。
そうしたアウェイな空間で発表される幻想・前衛・異端俳句の連載を見守りたい。
それにしても「犯人はあの春の月!って笑う」の「って笑う」の「っ」を五音として数えれば字余り無しの定型に収まるというのは魔術的だ。
「って笑う」の「っ」を意識して何度も読み返してしまう。