第三話 海底遺跡?

【進体変異が完了しました。異能力・電磁感知エレクトロマグネティックセンシング鮫肌シャークスキン強化嗅覚リーンフォースノーズセンスを獲得、変異します】


『うぅ、この急に意識が途切れる感覚なれないな』 

 

 俺は、身体を起こす。


『また身体が大きく成長した。以前の何倍もある。大体4.5mぐらい』


 それに、姿も大きく変わった。俺の姿は、血の匂いにつられてやってくる奴らの姿になった。

 鋭い牙に、ザラザラの皮膚、鋭い嗅覚。


 群れを率いていた頃と比べると、大きく変化したな。

 群れは、数の優位や連携など様々なメリットがあったが、結局は圧倒的な個を前にすれば数の優位やちょっとした連携などなんの約にも立たない事を俺は知った。

 群れはズタズタに引き裂かれたが、生き残った仲間が新たにリーダーとなり、存続させるだろう。

 俺は、仲間と区切りをつけ自分だけの道を行こう。目指すは、どんな奴だろうと敵わない、絶対的な力を持つ圧倒的な個に……!

 その為には、他の生物を殺し喰らう。これが俺に出来る一番手っ取り早い手段だ。

 そうと決まれば、これからはなりふり構わず周りの生物を喰いまくろう。


『よし、深場に潜る覚悟と自信はついた』


 俺は、これからの目標を明確にしさらなる強さを求めて更に深い場所に潜った。





『姫様〜どこですか〜!』


『ここだよ!』


『そちらでしたか、今向かいます』


 一人の姫と従者がそんな会話をする。


『ここは、庭園ですか』


『ここは、すごく落ち着くの。姫としての役目もみんなからの重圧も何かもが溶けて消えて、海と一体になれる』


『姫様……ですが、貴方はそこらに住む魚達とは立場が違うのです。この王国の跡取りとして我ら海人族を導いて貰わねば』     

 

『めんどくさい、私はずっとお魚さん達と海で自由に泳いでいたいの。姫としての立場とかお母様の気持ちも分からなくはないけど……』


『でしたら……!』


『それでも、私はこうしてお魚さん達のように自由に海を泳いでいたい。玉座になんか縛り付けられたくない……』


 そういえば、あの時助けたお魚さんは今どうしてるかな。

 あの時お魚さんを治す為にお父様の力を使ってしまった。気軽に使ってはいけないと言われていたのに。

 自分を一生守ってくれる大切な人だけに使うようにって。

 でも、使ってしまったものは仕方ないよ! だってあのままじゃ死んでしまう所だったんだから。

 それに、力は減ったり消えたりしてないし。


『姫様? 大丈夫ですか』


『うん、平気。少し考え事してただけだから』


『そうですか、それではお勉強に戻りますよ。途中で抜け出して来てるんですから』


『うぅ〜』


『そんなに頬を膨らましても、連れていきますからね。ほらっ』


 そう言って従者は抵抗する姫の手を引き、部屋に連れ戻した。





 そして、時は流れ四年後……。


『うわぁぁぁ、大喰いだ逃げろぉぉ!』


『逃げても無駄だ……! 全員食われる!』


『誰か助け……』 

 

 一つの群れが何かから逃げ惑う。


『駄目だ、全然異能力が手に入らない。最近はずっとそうだ。この辺りの生物はあらかた喰い尽くし、能力も同じ能力しか手にはいらない』


 七m以上はある一匹の捕食者が、そんな事を考える。


『そろそろこの辺も潮時か、住処を変えるべきかな。とりあえず、家に帰ってから……おっと、その前に能力チェックだ』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【名称】未決定

【種族】特異ホホジロザメ

【状態】通常

【性別】オス 

【生物階級】上級中位


【神異能力】

全てを見通す神眼プロビデンス・アイ

  

【特異能力】

喰奪変異、異能統合アビリティインテグレーション強骨操作ストロングボーンオペレーション


【異能力】


〈特殊〉

二面性デュアリティ

  

〈感覚〉

超感覚スーパーフィーリング音波探知サウンドウェーブディテクション

 

〈身体〉

超再生スーパーリジェネレーション状態異常耐性アブノーマルコンディションレジスタンス強牙顎ストロングファングジョー擬態ミミックリー、鮫肌、外骨格、性転換、巨大化、


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 この異能を手に入らた時は驚いたなぁ、まさか自身の能力を見ることが出来て、視界に入ったものを解析することもできるなんて。

 それに、あんなものまで……。





 自信満々に潜り始めたが、中々怖いな。

 ここらへんは、まだいつも見かける魚達が泳いでいるけど、もう少し深く潜るとそこは未知の世界だ。

 どんな危険があるか分からない、覚悟して進まないと……。


 俺は、更に深い所まで潜っていく。

 

『おぉ〜ふっけぇ〜。底が深すぎて全く見えない。俺が今の段階でいけるのはここまでだ。こっから先はまだ無理だな』


 俺が少し潜ると、そこにはどこまででも続いてそうなほど深い海があった。

 深場よりもさらに深き場所、深海が俺の視界一面に広がっていた。


『しばらくこの辺で暮らそう。その為にもまずは、周辺の地形把握をしないと』


 俺は、周辺の地形を確認するため横に泳ぎ出した。  




 

『ん? なんだあれ。何かの建物?』


 泳ぎ始めて数時間が経過した時だった。

 俺の目の前に、ボロボロの不思議な建物が現れた。


『初めて見る建物だ…………危機感知は反応してない。つまり危険はないってことだが』


 どうする? 入ってみる? いや、何があるか分からないし、ここは一旦諦めて……待て、俺は強くなるためなりふり構わず喰いまくるって決めただろ! 危険そうだからって、すぐ怖気づいてたら駄目だ。


『行こう、危険そうでも何か得られる物があるかもしれない』

 

 俺は、自分自身を奮い立たせて不思議な建物の中に入っていった。


『中はすごく荒れてるな、色んな物がそこら中に落ちたり、漂ったりしてる』


 どうも普通の建物とは違う気が……。


 その後も俺は引き続き、建物内を探索した。


『よくわからない物がたくさんある、それに広さもかなり……ん? ここは……』


 俺は、二つの扉を見つける。どちらからも何かすごいもの感じる。


 どっちから行けばいいんだろう、右? 左? どっちも何かすごい物があるのは分かるんだけど。

  

『ここは、一番最初に視界に入った右の扉から!』


 俺は、壊れている扉の隙間から中に侵入する。


『これはなんだろう、生き物の形をした骨? いや石?』


 部屋に入ると俺の視界には、数々の生き物の形をかたどった石がそこら中に散乱していた。


『ま、わからないしいいや。何かありそうなのはここじゃなくて、奥っぽいし』


 俺は、部屋の奥まで進む。


『あった、これだここで大きな気配を感じる物の一つ。それにしても気色悪いなぁ、これ何かの目だよね?』


 そこにあったのは、大事そうに収納されている二つの縦長な瞳孔を持つ金眼。

 瞳を収納しているこれだけは割れずに、きれいに保管されていた。


『気味悪いけど、綺麗だ。もっと近くで……』


 俺が、距離を近づけた時だった。


 パリーンッ! とでもなりそうなほど勢い良く二つの瞳が収納しているガラスを突き破り、俺の目にネジ入って来た。


『グァァァ! 目が…俺の目がぁぁぁ!!』


 俺の目は、二つの金色の瞳により押し潰された。


『いだぃ、俺の目が……』


【神異能力・全てを見通す神眼プロビデンス・アイを獲得、変異しました。加えて、暗視、弱点看破が全てを見通す神眼に統合されました。初めて異能力の統合に成功しました、条件達成により異能統合アビリティインテグレーションを獲得しました】

 

『変異……? じゃあこれは異能を手に入れたのか? 神異能力なんて一度も聞いたことがない』


 俺はしばらくして、目の痛みが収まり視界が開けてきた。


『前より視界がクリアに見える、これが俺の新しい異能力』


 でも、どういう効果なんだ。


【神異能力・全てを見通す神眼により、全てを見通す神眼の能力及び個体名未定の力を表示します】


【神異能力・全てを見通す神の瞳プロビデンス・アイ

 すべてを見通せる神の瞳。自身の能力や他者の能力を見ることが出来る。他にも見たものを解析出来るなどの能力がある。

        

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【名称】??

【種族】特異メジロザメ

【状態】通常

【生物階級】中級中位


【神異能力】

全てを見通す神眼、

  

【特異能力】

喰奪変異、異能統合、


【異能力】


〈特殊〉

冷静、

  

〈感覚〉

危機感知、

 

〈身体〉

再生、外骨格、骨棘、骨角、性転換、強顎、

毒耐性、強牙、体色変化、感染耐性、巨大化、


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 おぉ、なんか出てきた。

 ふむふむ、これは今まで俺が喰らい奪ってきた奴らの異能力。自分の能力を可視化か、これはすごい異能だ。

 これで出来る事が大きく増える。この部屋も色々見ながらもう一つの部屋に行こう。


 俺は、あたりを解析しながらもう一つの部屋に向かった。


  



 解析しまくっていくつかここについてわかったことがある。

 ここは、人間が作った海中にある海洋研究所だった。

 加えて俺が生まれる前に世界は大きな災害に見舞われ、その影響により俺のような変異生物が生まれたそうだ。

 ここの海洋研究所もその被害を受け、研究所内で飼育していた生物達が変異し、壊滅したとのことだった。

 人間達は、古代の生物の復元及び生物兵器の研究を行っており、俺が見た生き物の形をした石は、化石と呼ばれる物だそうだ。

 

『古代生物か、とんでもなく強いのがいそうだ。でも、絶滅してもういないって話だけど。一度でいいから観てみたかったなぁ』


 俺はそんな事を思いながら、部屋を後にした。


『次は、左の部屋。こっちにも何かすごい気配がある。え〜と、古生物実験室……でいいのか?』


 俺は、掠れた室名札を確認する。


『傷がついてたりしてよく分かんないや。とりあえず入ってみよう。この先に必ず何かがある』


 俺は、意を決して右の扉の隙間から室内に侵入した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

進化の軌跡〜突然変異を繰り返し最強を目指す! 朧月夜宵 @Oboro101

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ