蝶、幾千【俳句】二十句部門

紅瑠璃~kururi

曼荼羅色

黒き蝶

青き影より

生まれ


百万色の

花吸いつくし

真の黒


~~~~~~~~~~~~~~~~


白き蝶

バニラの奥の

羽化の夢


鱗粉と

散華する香と

紅茶の香


~~~~~~~~~~~~~~~~


ドービニーの庭に

アイリス色の蝶


捜しをり

塗り潰されし

黒猫を


ドービニーの庭:ゴッホ作(1890年)


~~~~~~~~~~~~~~~~


夕焼けに

染まらぬ蝶は

オレンジ色


逢魔が時

紫磨金色しまごんじき

光る蝶


~~~~~~~~~~~~~~~~


水色の

蝶透きとおる

空の青


天上まで

飛べた飛べぬか

空に消ゆ


~~~~~~~~~~~~~~~~


銀の蝶

過去の川面に

点滅す


過ぎ去りし

日々のまたた

銀のはね


~~~~~~~~~~~~~~~~


プシュケーと

呼ばるる蝶の

紫に


魂を

染めて空へと

送りゆく


~~~~~~~~~~~~~~~~


幻界より

くれないの蝶

降臨す


ガンジスの

波に浮かびて

花となれ


~~~~~~~~~~~~~~~~


菜の花の

色に染まりて

蝶の谷


浮かれ蝶

黄泉よみの国めく

黄檗きはだ


~~~~~~~~~~~~~~~~


生まれきて

逝く日まで添う

蝶幾千


曼荼羅の

色は幻世に

在るあかし


https://kakuyomu.jp/users/rubylince/news/16818093078674335070


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

蝶、幾千【俳句】二十句部門 紅瑠璃~kururi @rubylince

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画

同じコレクションの次の小説