第2話 商人



「ん〜……………」



 どうしようか………



 路銀も無ければご飯も無い

 国を出たは良いけど次の町の場所も分からないし………



 魔法………を使おうにも魔力が足りない…



 一般的に魔法を使うには魔力と呼ばれるものが必要で、その魔力が発動する魔法の規定量に達していなかったら撃つことも出来ない



 そして私の魔力はここまで来る時に、身体を強化する身体強化魔法を使って来たからすっからかん



 ほんとどうしよう…………



「………まぁいっか」



 歩いてればいつか着くだろうし、魔力だって回復する



 ゆっくり行こう、ゆっくりと



 出来るだけ



 みんな《部隊の子達》のお墓が有る国の近くから、離れないように…














「はぁ…はぁ…」



 流石に疲れた

 もう8時間近くは歩いてる

 ご飯も食べてないし……



 いや、こんな事でへこたれちゃダメだ

 私より辛い思いをしてる人達だって居るだろうし…



「………?」



 後ろから気配がし、振り返る



 耳をすませば馬車とそれを引く馬の声が聴こえる



「………商人かな?」



 もしかしたら何か買ってくれるかも………

 よし、ちょっと止まって待ってよう




 数分もすれば直ぐに馬車が姿を見せた



 そして私の姿を見ると同時に馬車は止まり、護衛らしき数人が武器を構えて近付いてくる



 …………待ち伏せするみたいに立ってたら怪しいね、流石に



「誰だお前は?」


 誰だ…?


「私はルナ」

「あ、いやそうじゃなくて…」



 えぇ…?

 名前を聞いてるんじゃないの…?



「こう、もっと、商人だ!とか、旅人だ!とかみたいなの無いのか?」

「あぁ………そうだね、私はルナ、旅人だよ」

「うん、名前はさっき聞いたから要らないぞ」



 うるさいなぁ…

 いちいち突っ込んでくるんじゃないよ…



「で、俺達を待ち伏せするように立ってたが何してたんだ…?」

「ん、馬車の音が聞こえたから、何か買い取って貰えないかと思って待ってたの」

「ほんとか?ほんとなんだな?………よし、ちょっと待ってろ」



 あ、なんか行っちゃった

 というか今思ったけど警戒心が低い様に見えるけど大丈夫かな………?



 私が嘘ついてる盗賊とかだったらどうするんだろう………?

 馬車の近くに陣取ってる他の護衛も居るから大丈夫って算段かな…?



「馬鹿野郎!相手が嘘ついてたらどうするんだ!?」

「あっ!ほんとだ!すんません…」



 なんかさっきの護衛が馬車に顔突っ込んで話してる。

 というか怒鳴られてる



 多分商人さんかな…?

 怒鳴ってる事は当然至極の事だけど相手に聴こえる程大声なのはどうなの………?



「嬢ちゃんすまんな、うちの依頼主さんは慎重派なんだ」

「へぇ〜………」



 1人ボーッとしてたら他の護衛のうちの1人が寄ってきた

 なんか他のより強そうだから、この人が護衛隊のリーダーなのかな…?



「あ、俺の名前はクリスだ。 一応あそこにいる奴らと一緒に『運び屋』っつう護衛専門の冒険者をやっている」

「運び屋………」



 違法薬物を運んでる人達と間違えられない?その名前



「そういや嬢ちゃん、こんな所で1人で何してんだ?お父さんは?お母さんは? こんな場所に嬢ちゃんみたいなちびっ子が居たら危ないぞ」

「ちびっ子………?」


 一応こっちは15歳だから成人判定なんですけど


「おう、嬢ちゃんは多分……140cmぐらいだろ…? だから…9歳ぐらいか?」

「………………こんなチビでも一応15歳です………」



 私が少なからず気にしてる事を平気で撃ち抜かれた………


 うぅ………部隊にいた時も一番年上なのに身長は大体負けてたし………



「え、嬢ちゃん、15歳…………?ほんとか…?嘘はあんまし良くないぞ…?」

「………信じられないならいいですよ、信じなくても」

「え、ちょ…」



 クスリさん?から目を背け周りの雄大な景色を眺める



 なんか弁明の声が聴こえる様な気もするけど残念ながら今の私の耳をその言葉が通る事は無い



 聞いて欲しかったら早く商人さんと喋らせてね









――――――――――――――――――――





 ルナちゃんは拗ねてしまった様です


 前話の最後にも書きましたがあらすじに一部不備があったので書き直しました


 まぁ『異質な能力』に関する記述ですね


 なのでそこの部分を見てしまった方は申し訳無いですが壁に頭をぶつける等して記憶を飛ばしてください



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死ねない少女の逃避行 @jyagapoteto

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