愛と崇拝

白七一

愛と崇拝

待ちきれぬ遠足前の夜を過ごしているみたい君にあう前


過去を重ねてはごめんと思うけど、いつだっていまだけが初恋



背中にまわされた大きなきみの手があたたかいからしぬなら今だ



抱きしめて、さっきの映画みたいに。そしてそのまま朝まで眠って



いつも読んでいる本の12ページの3行目が羨ましいな



きみだけが笑わずきいてくれた夢とずっとみていた悪夢のこと



たすけてはきっと届かなかったのに、あらわれるきみ、ヒーローみたい



暗闇で手を引いていてくれたこと、きみの手を引き救いたいこと



このままさ、しぬんじゃないかとおもったら、きみのことだけ考えてたよ



花火みる横顔をみた時からね、ずっと抱きしめられたかったの



テレビとか、ベランダで吸うたばことか、全部わたしになればいいのに



醜さを愛というならこれがそう。美しさじゃあ勝てないもんね



「綺麗だ」と。嘘でもいいよ、最期までずっとお互い騙していよう



永遠はきっとどこにもないけど永遠にしたい夜ならあった



とくとくと脈打つきみの心音と、浅い呼吸で眠っていたい



ほんとうは、ただ抱きしめてほしかった。それをきみだけが気付いていた



きみのいる六畳一間だけが、ここだけが深く息を吸える場所



わたしたち、液体だったらよかったな。混ざって二度と戻らないなら、



きみがそうしたように、きみのなか泣いてる子供ごと愛しているよ



きみと同じになりますようにきみと同じになりますようにきみと

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