第1話「恋は盲目」のおまけ話
部室で梓にも潮を紹介したら、
「先生、男友達は居ないって言ってたじゃないですか」
と、言われた。
そういえばそんなことを言ったこともあったっけと、維伸が考えていると、
「なんだお前、俺のことは友達だと思ってなかったのか」
そう、潮に睨まれた。
これは明らかに怒っている顔だ。そう思い、維伸は焦った。
「ち、違うよ……。僕は潮のことを友達だと思ってるけど、潮は僕のことを友達だと思ってないんじゃないかなって……。実際、三年ぐらい連絡を取ってなかったし……」
潮が前の学校で暴力沙汰を起こして無職になってからというもの、なんとなく連絡を取りづらかったのである。
とはいえ、緑子づてに潮が教職に戻りたがっていることを聞いてはいたので、絵里の件もあって思い切って連絡してみたのだが……。
潮はと言うと、三年間の空白の期間を全く感じさせない様子で自分と会話し、あっという間に引っ越し先まで決めてしまったのだ。それも、自分の隣の部屋に。
そのフットワークの軽さを見るからに、余程無職というのは潮にとって堪えていたらしい。
「三年も連絡取ってなかったんですか。それじゃ友達じゃないですね」
と、納得するように梓が言うと、
「ガキと違って、大人の三年は短いんだ。それぐらい普通だろ。俺は維伸のこと、ちゃんと友達だと思ってるぞ。……ただ、何となく連絡する機会がなかっただけだ」
少し照れくさそうに潮がそう言ったので、維伸も嬉しくなった。
二人の間になんとも言えない空気が流れる。
それを察したのか、梓は、
「やっぱり二人はデキてるんじゃないんですか?」
などと言ったのだった。もちろんその後、潮は怒り狂っていた。
Love is blind. 蒼辺ユリ @aobeyuri
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