小説の中の永遠

何度心中しても生還する、飄々とした不死身のような男と、そんな彼の感想が聞きたくてひっそりと小説を出す男の死別ブロマンス。
端的にまとまった文章の中で語られるふたりの関係性が、とにかく最高でした。

不死身に思えても不死身ではなかった人は、小説の中で永遠の人になりました。寂しさから書き続ける主人公の気持ちを思うと胸が締め付けられると同時に、なんて美しい物語だろうと思わずにはいられません。

ラストの一文を本当に言いたかっただろう相手はもういないし、彼が生きていた時には、きっと言おうと思うこともなかったのでしょう。その反面、「僕と一緒に死んでくれ」と懇願されたら受け入れていたのかもしれないし、どこかでそうして欲しかったのかもしれません。考えれば考えるだけ、心が引き絞られる気持ちになります。
ほろ苦い後味がたまりません。大好きです!