初めは百合要素を期待して読んでいましたが、良い意味で期待を大幅に裏切る話でした。
物語はタイトル的にしっとりとしていますが、コメディチックなところもあります。百合初心者の方にもオススメな作品です。
キャラクターは王道的です。
カーストトップの女子生徒と地味な教師。
二人は意外な一面があり、それがキッカケにもなり、二人は惹かれ合います。人間味あふれる二人の姿がそれぞれの視点で丁寧に書かれているため、二人の人間観や恋愛観がわかり、感情移入しやすくなっています。
私が良い意味で期待を裏切られたのは、他者の望みに応える人生か、自分の望み通りに生きる人生か、どちらの人生を生きるか悩んでいる人には刺さる物語であったことです。
日日先生の読ませられる文章に、自分は今の置かれた状況や、今後自分はどう生きていきたいのか、考えさせられるきっかけになりました。
今後もこちらの作家さんには作品を書いていただきたいと強く思っています。応援しています。
書籍を読んでカクヨムで2周目読んでいます。淡々と純粋に語られる物語は透明感に溢れていて、だからなのか登場人物の心情やふとした日常の風景描写がより鮮明に感じられ、すごくリアルに迫ってきます。「もうあたしは恋を知らない自分には戻れない。思っていたより気分は悪くない。あとはもう突っ走るだけ」、こんな普通の言葉がこの物語の中ではひときわ味わい深く浮き立ってきます。全編を通して文章に無駄がなく余白の隅々にさえ筆者の意図が行きわたっているかのようで、しかしそれは決してお仕着せがましいものではなく、自然と読者がこの物語の世界に導かれていくための心地のよいもので、推敲が重ねられた文章だと感じました。先が読みたくなってネクスト加入してしまいました。嬉しい誤算です!