地球儀一周 🎐

上月くるを

地球儀一周 🎐



サイダーやすかつと一つ抜けて空

つながれて山羊おとなしく夏木立


夏雲やたれにも告げぬ小さき幸

真つ青なアオザイのごと夏の空


草の上にボールひとつや木下闇

犬去りし庭にゑんじゅの花の房


いつしゆんに地球儀一周昼寝の子

背中からさびしさ募るハンモック


わるびれず日向に咲いて姫女苑

ふうはりと風が味方や合歓の花


水脈奔る太き茎なり百日草

電柱にすがりつきたき立葵


白地着て今日といふ日を軽くする

NOだけの過去にあらずや藍浴衣


愛着や洗ひざらしの夏帽子

田蛙の気配もなくて昼日中


帽子屋は傘屋の隣り夏日影

珈琲のひと口うまし夏香る


呉服屋の二階のチェロや釣忍

打ち水やアジア映画の映画館




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