ホラータイム!

崔 梨遙(再)

1話完結:1100字

 私は沖田結衣、大学1年生。夏休み、同じ大学の永倉新太郎、斎藤泉、松原柳子、原田大輔と私の祖父母のいる田舎へ旅行に出かけた。私の祖父母は、田舎だが良いところに住んでいる。川で泳げるし、景色が良い。ちなみにカブトムシも採れる。


 逆に言えば、観光名所のような目立つものは無い。それでも、4人は来てくれた。ちなみに、泉と新太郎は付き合っている。



「さあ、バスから降りて! 村はすぐそこなの」


 ゆるやかな坂道を降りて行くと村の入口だ。そこで、慌ただしい物音が聞こえてきた。おかしい、こんな賑やかな村では無いのだ。そして、聞こえてくるのは主に悲鳴だった。


「結衣、どうなってるんだよ?」

「待って、新太郎。もっと近付かないとわからない」


 惨劇だった。1人の無精髭の上半身裸の男が刀を振り回して村人達を襲っていた。手当たり次第、目についた者を斬っているようだ。地獄絵図だった。


「ねえ、結衣、あの男は何なの?」

「村で1番危険な男。普段は屋敷の中に閉じ込められているのだけど、屋敷から出たみたいね。泉、タイミングの悪い時に来てしまったわ」

「タイミングの問題じゃないでしょう?」

「どうする? あ、こっちに向かってくるぜ」

「こっちよ、大輔。近くに神社がある。神社には刀が祀られているの。武器が無いと戦えない!」

「じゃあ、とにかく神社へ!」


 5人は全力疾走して神社の中へ。祀られていた刀を私が抜いた。ほとんど同時に殺人鬼が神社の中に踏み込んできた。泉に向けて一太刀浴びせる。新太郎が身を挺して庇った。


「うわー!」


新太郎は背中を袈裟斬りにされた。続いて柳子が狙われたが、それは大輔が身を挺して庇った。大輔は背中を刺された。


 その時、神社の奥から鎧武者が湧いて出た。この神社に縁のある侍なのだろうか? 怖い。更に状況が悪化したように思った。


 ところが、鎧武者は私の中にスッと入り込んできた。私の身体が勝手に動く。私は殺人鬼を袈裟斬りにして倒した。



 それから、警察を呼んで大騒動。幸いなことに、重傷者は多かったが死者はいないとのことだった。私達は、取り調べがすむと街に帰った。



 変化があった。泉を新太郎が助けたので愛が深まったらしい。そして、柳子を庇った大輔は柳子と付き合うことになった。


 そして、私にも変化があった。あの、殺人鬼を斬った時の感触が忘れられないのだ。それは、言葉に出来ないくらい心地よかった。“また、あの感触を味わいたい!”、“また人を斬りたい!”、私の中の欲求が膨らんでいく。そこら辺の動物を斬り殺しても、もの足りないわ!


 私は1番長い包丁をバッグに入れて夜に家から出た。



「少しくらいなら、いいわよね?」







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