僕は幽霊を証明したい
あげあげぱん
第1話
僕は幽霊を証明したい。だから、話を聞いてください。
最近、僕は関東でも有名な心霊スポットへ行ってきたんです。幽霊が出ると有名なトンネルで、車もあまり通らない峠道にあります。
一応、人も通れるようになっているんです。それに、それほど長いトンネルではありませんからね。交通事故の心配はあまり無いんじゃないかな。
怖いのは車より幽霊ですよ。
そこは心霊スポットですから当然そのようなものの目撃段があるのですが、こういう噂もあるんです。そこでは幽霊が触れてくるんだとか。足首を掴まれたとか、手首を掴まれたとか、首を絞められたなんて言う人もいます。
僕は幽霊を信じては居ますけど、恐れてはいませんから、そのトンネルへ一人で行ったんです。もちろん夜になってからですよ。そういうものは外が暗くなってから出てくるのが定番ですからね。
僕はトンネルの近くでバイクを停めて、トンネルの中へは歩いて入っていったんです。ゆっくり幽霊を探したかったからです。
トンネルに入ってから数十分は探してみたかな。しばらく待っていると、とうとうそいつは現れたんです。幽霊ですよ。
うっすらと透けた女性の姿があったんです。一応ライトは持っていましたが、暗い場所でも、その霊の姿はしっかりと分かりました。気配は感じられないのに、しっかりと見ることが出来て、たしかに居るのが分かりました。その場に居るのが分かったんです。
女性は静かに、だけれど結構な速さで僕に迫ります。そうして噂通り、霊は僕の手首を掴みました。僕は咄嗟に霊の手首を掴み返しました。
ええ、掴み返したんです。それから……ここまで戻って来るのは大変でしたよ。でもなんとか、こうして皆で怪談を語る集まりに間に合った。
あなたたちは怖い話が好きでしょう?
きっと、あなたたちは幽霊の存在を信じているはずだ。そんなあなたたちに僕は彼女を紹介したい。
そうです。ここに彼女が居るのです。彼女の手首を掴んで、なんとかここまでやって来た。片手が塞がっていましたから、バイクはトンネルの近くに置いてきたんです。歩いて来るのは苦労しました。
さあ、彼女を見てください。幽霊は存在するのだと、あなたたちも認めてください。彼女が見えないなんて言わせませんよ。こっちはあのトンネルから苦労して戻ってきたんですから。あなたたちは彼女の存在を認めないといけない。それがあなたたちの義務だ。
もう一度言います。僕は幽霊を証明したいんです。そのために彼女を連れてきた。さあ、彼女を見なさい。僕から逃げようと必死な、あわれな彼女を!
僕は幽霊を証明したい あげあげぱん @ageage2023
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます