第49話 クリスマス2
朝っぱらからすごく疲れた俺だったがクリスマスパーティーの準備は思いのほか順調に進んだ。愛田さんも家で料理をよくからなのか、料理の準備は問題なく進んだ。
八幡くんも料理の手伝いはちょくちょくしていたぐらいだったが、部屋の飾りつけなどをしていてくれた。
…さらっと勝手に自分たちの家が飾りつけされていることは黙っておく。
まあそんなこんなで意外と俺が忙しいということはあんまりなかった。
あるとすれば…そう思い、隣にいる舞へ視線を向ける。
「…?どうしたの碧くん?」
「…いやなにもないよ」
「そう?」
そう、一番大変だったのは舞を起こすことだった。
いつもは少し無理やり起こせばすぐに起き上がってくるのだが、今日はいつもより気温が低く舞はベッドの布団の中から離れようとしなかったのだ。
部屋の外から準備をしながらこちらへ目線を向けていた愛田さんからは『なにあいつら朝からいちゃついてんだ』みたいな感情が読み取れた。
そうしてなんとか舞を起こすことに成功して今に至る。
「舞はいつになったら寝坊しないようになるんだろ…」
ひとりごとのつもりだったが愛田さんに聞こえていたらしい。
「碧くん…私解決方法知ってるんだよ」
「え?ほんとう?」
「うん。あきらめるっていうんだけどね…」
「それなんの解決にもなってないと思うんだけどそれを解決策と言ってしまうのはある意味すごいね…」
「だって舞が寝坊しないなんて絶対に無理だもん…ねえ舞?」
「私は365日寝坊なしだけど?」
「逆でしょ逆。寝坊してない日がないんでしょ」
「…仕方ないじゃない、一度布団に入ってしまえばそこから出たくなくなるのが人ってものよ」
「ちょっと論理っぽく言ってもダメだから。結局は舞が自堕落なだけだから」
「あはは…舞も料理とかはできるから生活力はあるはずなんだけどね。どうしてなんだろうね」
「もういっそのことベッドをなくしたらいいんじゃないの?」
「 「 「それはないよ八幡くん」 」 」
満場一致で否定されて涙目な八幡くんであった。
雑談をしながら準備を進め、14時過ぎくらいにパーティの準備を終えることができた。
「というわけで~かんぱーい!」
「 「 「かんぱーい」 」 」
愛田さんの掛け声に合わせてジュースが入ったグラスを4人でぶつけた。
「いやー今年は舞とクリスマスパーティーできてよかった~」
「今までは家族と過ごしてたんだっけ?」
「うん…家族も大事だったし、それに今まで自分がしたいことをしていいって気付かなかったから」
「…そっか」
「うん。だからありがとね二人とも。少し早い気もするけど、来年…これからもよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくね一夏」
「うん、よろしく」
少しクリスマスには合わない雰囲気な気もするが、俺たちはこれでいいのだろう。
今はみんなが楽しそうに笑っている。それさえわかれば十分だった。
愛田さんも舞も笑顔で―――
「ねえ、三人だけのムードを作らないで?!僕のこと忘れてない?」
「 「 「・・・」 」 」
「いやごめんね?雰囲気壊しちゃって!けど目の前でそんな雰囲気見せられる側の気持ちにもなってほしいかな?!」
「ご、ごめんね。なんというかなぜかいつの間にか意識から離れるんだよね八幡くんは」
「わかる…なぜか急に存在感がなくなるよね…」
「神よ…僕がなにをしたというんですか…」
とうとう八幡くんが神に問いかけ始めてしまった…これはもう手遅れかもしれない。
そう思いながら八幡くんに聞こえないように愛田さんに耳打ちする。
「…もう八幡くんを助けられるのは愛田さんしかいないよ」
「ええ?なんで私ぃ?」
そりゃもちろんそうだろう。うん。
「え、えーと八幡くん?大丈夫だって!八幡くん結構キャラ濃いし付き合いが長くなれば存在感出るって!」
「愛田さん…それは励ましになってない気がするよ…」
実際問題、愛田さんが放った言葉は八幡くんにクリーンヒットし、さらにダメージを受けていた。床に倒れながら呪詛吐いてるし…怖い。
そんなことを思ったいたら隣にいた舞に腕を引っ張られた。
「…?」
舞は腕を絡めて密着してくる。もちろん嫌なわけないが突然のことなのでびっくりする。
「どうしたの?舞」
「…さっき一夏に耳打ちしてた時にちょっと嫉妬しちゃったっていうか…」
「そっか、ごめん舞。これからは気を付けるよ」
「…うん、ありがとう碧くん」
そうして舞は完全に俺のほうにもたれかかってくる。
愛田さんは隣でジト目を向けながらも温かい目で見守っていた。しかしリア充といえば反応する人が一人。
「リア充があああああああああああ!」
「これはある意味戻ったと言っていいのか…?」
こうして八幡くんは完全復活(?)した。
氷姫と呼ばれる君の僕だけが知る甘い顔 水無月桜 @minatuki_sakura
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