第48話 クリスマス

時の流れは早いもので今日は12月24日、クリスマスイブである。

うちの高校は12月24日まで学校があるので今日が終業式だ。

「えー冬休み中も規則正しく生活を―――」

相変わらず話の長い校長先生の話を聞き流しながらこれからのことを考えることにした。

明日はクリスマスだ。なので自分としては舞とゆっくりした時間を過ごしたいと思っている。なんだかゆっくりできそうにないような気もするのだけれど…

これは当たり前ではあるが2人で過ごすなら恋人と過ごす初めてのクリスマスとなる。

そんなことを考えていたら終業式は終わっていた。教室に戻り荷物をまとめていると…


「ねえ!明日碧くんの家でクリスマスパーティーしようよ!」

どうやらゆっくりできなさそうという予感は当たったらしい。

愛田さんの大きな声が聞こえていたのか舞もこちらへと寄ってきた。

「何の話?」

「明日に碧くんの家でクリスマスパーティーをしようって話~」

「クリスマスパーティーねぇ…」

「大丈夫だって!ちゃんと夜は二人にしてあげるからさ!」

なにが大丈夫なのかはわからないがまあ確かに三人で過ごすクリスマスもいいかもしれな―――

「もちろん僕も行くよ。当り前じゃないか」

「・・・」

訂正。四人で過ごすクリスマスも悪くないかもしれない。別に八幡くんのことを忘れていたわけじゃないからね?ただただ愛田さんが大変かなと思って数に入れてなかっただけだから。よって愛田さんが悪いということで幕を閉じます。

「別にそれはいいんだけど急じゃない…?」

「大丈夫だよー食べ物とかは準備してるし~」

「それ私たちが断ったらどうしてたの…?」

「え?もちろん一人でしょんぼりしながら家で食べるよ」

相当悲しい計画だった。

「なんて冗談冗談。弟たちと一緒に食べれるし全然どうにかなってたよ~」

「なんなら僕と二人で食べてもよかったんだよ?愛田さん」

「そっか弟さんたちと一緒にっていう手があったか」

「まあそれならいいんだけど…」

「あれ?おーい水瀬くん?聞こえてるよねー?」

とりあえずひたすら八幡くんを無視し続ける三人であった。


いつも通り舞と一緒に家に帰り、そこから明日の準備をすることにした。

「クリスマスパーティーかぁ…そんなのを友達と一緒にするのって久しぶりかも」

「あれ?舞は毎年、愛田さんとしてなかったんだ?」

「一夏は私とずっと一緒にいてくれる子だったけどそれでも家族は大事って言ってたから」

「なるほどね」

「だから明日が結構楽しみなの。碧くんは?」

「もちろん楽しみだよ」

少しでもいい。少しでも前より楽しい、幸せと舞が感じられるように頑張っていかないと。そう思いながら明日の準備をする。部屋にはカツキバタの花が飾られていた。


翌日。朝早くに、俺が目を覚ましたのは来訪者を告げるチャイムの音だった。

「やっほー」

そう言ってやってきたのは愛田さんだった。12月後半ではもう外の気温はとても低くなっており、愛田さんの服装は寒さから体を守るために防寒具をたくさんつけた姿だった。

「いやー寒いねえー」

「えっと、ご苦労様?それでどうしたの?」

「んー?食材は準備してたんだけどこの状態だと食べれないじゃん!だからここで作ろうかなって」

「え?食べ物ってデリバリーとか完成品を買ったものじゃないの?」

「え?違うよ?いやまあケーキは頼んだものがあるんだけどさ。あとで碧くん取りに行ってもらっていい?」

「いやまあそれはいいけど…」

さすがに驚いた。まさか全部一から作ると言い出すとは…

「料理するのはいいけど何を持ってきたの?」

「えーと、ローストチキンとかピザの材料とか?」

「ローストチキンはともかくピザは無理でしょ!窯なんて家にないよ?」

「いやまぁなんとかなるでしょ〜碧くんは舞のこと起こしてきてよー」

俺がおかしいのか?なんだか少し心配になってきたのだが…そう思っていると再度チャイムがなった。

「お邪魔します」

そう言ってやってきたのは八幡くんだった。

「八幡くんまでこんな時間にどうしたの?」

「愛田さんの気配がしたんだよね。だからもう碧くんの家に向かってるのかなと」

「あぁうん…そう…」

「それで、愛田さんはなにしてるの?」

そう八幡くんが疑問を口にする。それに対してキッチンに向かっていた愛田さんが答える。

「んー?ローストチキンとかピザを今から作ろうと思って」

「何を言ってるの愛田さん?」

よかった。おかしいのは俺ではなかったらしい。

「ケーキも手作りで作ってこそでしょ!」

「…」

もう嫌だ…八幡くんもそっち側なの??

これから始まるクリスマスパーティが心配である…

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