第3話 赤い瞳

アルスは宿へ戻り食事をする

その後は部屋には戻らずそのまま外に出た。


「たまには散歩でもするかぁ、」


偶には散歩をしたくなる日もあるだろう

風に当たりながらいつも見ている街を歩く

リフレッシュも大事な仕事だ。

歩いていると何処からか子供の泣き声が聞こえてきた。


「子供の泣き声!?」


アルスは泣き声が聞こえる方へ走り出した。

そこで泣いていたのは小さな女の子だった。

近くに母親の姿は見えない、きっと母親とはぐれてしまったのだろう。

アルスは女の子へ近づきそっと話しかける


「君、どうしたの?」


女の子は泣いている目を開けた。


「ママとはぐれちゃった、」


やはり迷子だった

アルスは困っている人を放っておけない

子供が困っているなら助けてあげたい。


「俺と一緒にお母さん探そうか」


そう言うと女の子は少し泣き止んだ


「うん、」


俺は女の子に手を差し出した

女の子と手を繋ぎ母親を探して街を歩き始めた


「君、名前はなんて言うの?」


「リラ、」


「リラちゃんね、俺はアルスよろしくね!」


俺は人助けが好きなんだろう

リラと街を歩き出して少し経った頃リラのお腹が鳴った。


「!?」


「リラちゃんお腹すいた?」


「うん、」


「じゃあ何か食べようか!」


アルスはリラを連れて街の商店街まで来た。


「何か食べたいのある?」


「あれが良い、」


リラが指を刺したのはパン屋だった。

そこのパン屋はこの街でも有名でアルスも知っている所だ。


「いらっしゃい!うちのパンは美味しいよ!」


店主が元気に話しかけてくる

アルスはリラに視線を向けて問いかける。


「どれが食べたい?」


「あれが良い!」


「ミートパンね!少し待っててくださいね」


少し経つと店主がミートパンを持って来た

代金を店主に払いパンをリラに渡し店の横にある段差に2人で座る


「お兄ちゃんは食べないの?」


「俺はさっきご飯食べたからお腹いっぱいなんだ!」


俺の横でリラは美味しそうにパンを頬張る

見ているだけで可愛くて幸せだ。

リラを見ていると小さかった頃の自分を思い出す


「ご馳走様でした!」


「お腹いっぱいになった?」


「うん!!」


パンを食べ終わりその場から2人は移動しようとしたその時だった。


「リラ!」


リラを呼ぶ声が聞こえた

目を向けるとそこには母親らしい人物が立っていた。


「ママ!!」


やっぱりそうだリラの母親だった。

母親は走ってこちらに向かって来た


「ほんと何処行ってたの?心配したんだから!」


「ごめんなさい、」


2人は抱き合い嬉しそうだった

無事母親と会えて俺もほっとした。


「貴方が娘を助けてくれたんですか?」


母親がアルスに問いかける


「まぁはい、」


「本当にありがとうございます!」


「無事再会できて良かったです!」


笑顔の親子を見て俺も嬉しくなった。


「本当ありがとうございます!リラもお礼言って!」


「お兄ちゃんありがとう!!」


その言葉を聞けただけでよかった。


「もうお母さんとはぐれちゃダメだよ!」


「うん!!」


2人は頭を下げてお礼した後2人で仲良く帰って行った。

人助けした後は気分が良い


「俺も帰るか、」


アルスは2人を見送った後宿へ向かって歩き出した。

宿へ向かっていると日は落ち始め暗くなっていく。

俺はこの空の色が嫌いだ。

昔の事を思い出してしまう


「ん?後ろに誰かいるな、さっきから尾行されてる?」


アルスは2人と別れて帰ってる途中からずっと誰かに尾行されている事に気付いた。

アルスは振り返り後ろを確認する

だが誰もいない、でも気配はある


「隠れてないで出てこいよ!」


声が聞こえたのか尾行していた犯人は物陰から姿を現した


「!?」


その姿は銀色の長い髪に赤い瞳の女だった。
















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この残酷な世界に優しさを 東西南北 @yuhnnda

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