第4話

 よし、ログインできた!

 現実と同じように朝日も上っていないのに地味にプレイヤーが多い。


「え、5時なのにこんなにいるの」


 こんな時間まで遊んでそうなのって学生か?それとも休日の社会人?

 まぁ、俺には関係ないしアイテムでも売ろっと。

 素材屋さんってどこにあるんだろ?

 このゲームは元々マップがないのが使用で、設定のところになかったことから俺は、スキルにマップのような物があるとにらんでるが、検証してみないとわからないので俺はするきはない。拠点を持ったら考えてもいいけど。

 考え事をやめ、歩きながら探すのもつまらない。


「なんかないかな」


 回りを見回すとこちらを見る視線がやたらと多い。

 何に注目されているか、自分の体を見回したら外套のフードが完全に失くなっていた。


「え、何で失くなってん!?」


 失くなってる部分は溶かされてるような感じだ。


「じゃあこの光って皆に見られてるんじゃ……」


 回りを見渡せばやはり注目されている。髪に!!

 早く素材屋さん探そう。

 いつもフード被っているのも出来ないよな。装備を買い換えたりするだろうし。

 人気を避けて行こうとしたが、前に路地裏で殺されたので通るに通れない。

 それでもプレイヤーが少ない方へ行くが、NPCを探すとプレイヤーが多い方に行くしかなかった。


「はぁ、いつかはバレることだし諦めるか」


 諦めて堂々と探していると酒場見たいな所が夜中でもやっているようだった。

 酒場ならNPCもいるはずだし寄ってみるのもありだな。


「いらっしゃい!!」


 給仕のお姉さん達は忙しなく働き、ガタイの良いおっさんがいろいろな料理を作っている。

 給仕のお姉さん達からは話を聞くのは無理そうだ。だが客はプレイヤーが多く、セクハラしているものもいた。

 そいつは料理を作っていたおっさんに迷惑料として金を取られ、追い出されて出禁になった。

 こんなことも出来るんだ。

 他のゲームではセクハラ事態出来ない。しようものなら追い出されるし、エフェトが出てきて触れなくなる。


「あんなのはほっといて、聞きに行くか」



   *** ** ***



「すみません」


 テーブルに近付き声をかけると、少し酔いがあるのか辺りを見回して「?」を浮かべるだけだ。


「すみませ~ん」

「?、?!」


 冒険者風の皮鎧にハルバードという戦闘系装備のお姉さんだ。

 最初と同じで辺りを見回していたが俺の後ろ―お姉さんの右横のテーブル―の人が指差しで教えていた。


「ど、どうしたの?」


 吃驚してお酒を吹き出しそうになってたけど、すぐに俺の体、顔、頭の順に見て行き、顔に戻ってくるが頭に目がチラチラと行っいる。

 こんな髪をした女児が話して来たら突発イベントと勘違いでも起こしてるのかな?まぁ、情報だけ聞けたらいいけど。


「気分良く酔えている所すみません、質問なのですがどこで素材を売れますか?」

「え、なにこの子供らしくない丁寧口調は……NPC?それともプレイヤー?」


 ボソボソと聴き取りづらい声で何かを言っているがそれより売る場所を早く教えてほししい。


「お姉さん?」

「え、あっ、ごめんね。競売所に行くか冒険者協会の横の素材屋になら売れると思うよ」


 案外素直に教えてくれた。


「それじゃあ失礼します」

「あっ、ちょっと待って」


 まだなんかあるのかな。競売所と素材屋の情報だけで良いんだけど……。


「君ってプレイヤー?」


 こちらを窺っていたプレイヤー、良く分かっていなさそうなNPC達を横目で確認して少し考えた。

 いつかはバレる事だけど全部正直に話すのも面白くない。ここはいっちょしらばっくれますか!! 


「ご想像にお任せします」

「……私も答えたんだし答えてくれても良いんじゃないかな?」


 それを持ち出すのはズルない?

 それでも答える気はないけど。


「それは違うと思いますよ。まず交換条件で聞いた訳ではないのに〝聞いて答えたのだからこちらの質問にも答えろ″っていうのはあんまりじゃないですか」

「ウッ、でもそれくらい答えても良い……ていうかプレイヤーの意味を理解してる時点で君がNPCじゃないでしょ」


 やっぱりそこで気付くんだ。

 次があったら理解してないふりでもしよっかな。


「まぁ、いろいろご想像にお任せします」

「あ、ちょっと――」


 止める声が聞こえたけど無視してギルドを探す。


「まぁ、そのうち見つかるだろ」


 そう言ってから1時間何も進展がなく朝日を迎える事になった。


「いやいやいや……この町広過ぎね」


 教会っぽい所のベンチに座って朝日を眺めながら独り言をつぶやく。

 でもどこにあるんだ。マップのありがたみを今感じるとは……。

 それなら今のうちにレベルポイントでも振っておこ。


「ステータス」


 レイ Lv2

 HP20 MP10 力1 魔力50 防御1 魔防30

       素早さ20 知力40 器用10 抵抗5


 やっぱりいつ見ても貧弱すぎる。

 100ポイントあるみたいだしどうするか。

 魔法はまずスキルじたい取れてないからそっち系は上げないで良いし、防御は焼け石に水の状態だからそっちも上げない。残りはHP、力、素早さ、知力、器用、抵抗ぐらいだけど…………よしこれで行こう!!


 レイ Lv2

 HP20(+5) MP10 力1 魔力50 防御1 魔防30

       素早さ20(+55) 知力40(+35) 器用10(+5) 抵抗5

             ↓

 レイ Lv2

 HP25 MP10 力1 魔力50 防御1 魔防30

       素早さ75 知力75 器用15 抵抗5


 これで完全に確定したら反映されるんだったな。

 

「ちょっと走ってみよ」


 思っていたより速く走れている。

 最初は自転車を遅く漕いだ程度だったが、今は全力で立ち漕ぎしてる速さになった。


「これ面白いな!」


 調子に乗って前宙やロンダート、側転などのアクロバットをしているがすべて簡単なもので体が柔らかいから簡単にできた。教会の芝生の所でそうやって遊んでいると子供達がこっちに向かって走ってきた。。


「姉ちゃんスゲー!!」

「なんでそんな早く走れんの!!」

「綺麗な髪!!」

「光ってるの何?」

「何してたの?」

「お人形さんみたい……」


 子供たちが次々と話しかけてくる。

 いっきに話しかけ られ、あたふたしている所に修道女の人が出て来て、息を切らせながら走ってくる。


「……こ、子供、た、ちが……ごめん……ね…………」


 そこまで運動しないのかなこのシスター?

 俺も大人だった時はこんな感じで1Kmも走ったら息切れしてたしこんなもんか。


「私より貴方の方が大丈夫じゃなさそうですけど」

「大丈夫よ。久しぶりに走ったから疲れちゃって」


 息が落ち着くのが早いのかすぐに喋れるようになっていた。


「シスター!この姉ちゃんスゲーの!」

「足も速いしな!」

「お姉ちゃんの髪ってなんでこんなに綺麗なの?」

「そんないっぺんに話したら答えられないわ。一人ずつ教えて頂戴」


 俺の周りにいた子供たちがシスターの方に移っていく。

 ふぅ、子供の相手って何故こんなに疲れるのか……。


「おわっ」


 後ろから急に抱き着かれた衝撃で変な声が出てしまった。


「ど、どうしたの?」

「お姉ちゃんと遊びたい」


 小1並みの女児に上目遣いでおねだりされたら従っちゃうんだよね。やっぱり可愛いは正義だ!!


「いいよ。けど朝ごはんとか食べたの?」

「まだ食べてないよ」

「じゃあまず朝ごはん食べて来なさい。それから遊ぼ?」

「……うん」



   *** ** ***



 思った以上にAIがヤバい。

 幼女が可愛すぎる。

 ロリコンではなっかたがそっちもありになって来そうだ。


「お姉ちゃんどうしたの?」

「何でもないよ」


 俺の膝の上で座ってご飯を食べている幼女が上を見て聞いてきたのだが、優しく頭を撫でてシスターとの話を続ける。


「すみません。他の子に対してはそんな事ないんですが貴方には凄く甘えん坊みたいで」

「甘えん坊じゃないもん」


 ………


「そういえば冒険者協会の場所でしたね」

「場所が分からなくて」

「それなら簡単に地図でも書いてお渡ししますね」

「お手数をおかけしますが、よろしくお願いします」

「良いんですよ。この子たちと一緒に遊んでくださるんですもの」

「私たちじゃこの子たちの相手をしても、私たちの方がバテてしまうから……」


 ニコニコしているが少し落ち込んでいるように見える。

 外で会ったシスターが教会にいるシスター達に伝えてくれたのかすんなり入れた。


「お姉ちゃん、お話終わったの?」

「ん?、うん、終わったよ」

「じゃあ私とお話しよ!!」

「う、うん、いいよ」


 この子グイグイ来るな。最初のしおらしかった態度はいずこへいったのやら。


「じゃあね、好きな人いるの?」

「え、好きな人?!」


 流石にこの質問に驚いた。

 こんなにも幼い時から恋愛の話をするものなのか……。


「そう!好きな人!!お姉ちゃんにはいないの?」


 どうしたものか……。

 女性ならまだしも男を好きになることは絶対にないしな……。


「私はね、レナーテお姉ちゃんとお姉ちゃんが大好き!」

「お姉ちゃんって私の事?」

「うん、そうだよ!!」


 レナーテって外で出会ったシスターの事だよな。

 というかなんで俺?


「なんで私もなの?」

「えーとね。なんかお姉ちゃんといるとふわふわ?するみたいな?あと、お姉ちゃんの色が綺麗だから一緒にいたくなるの」


 色?

 鑑定とかまだないから分からないけど、この子のステータスちょっと見てみたいかも。


「まぁ、一緒にいたいならいれば良いよ」

「やったー!!」


 好きな人の話は逸らし、それからはお人形遊びをしたり着せ替え人形になったりしていた。着せ替えと言っても昔の修道服と今の修道服を着たりしたぐらいだが。


「お姉ちゃん綺麗!」

「ねーたん、ねーたん」

「……綺麗です」

「うん、かわいい……」

「…………」


 男の子や幼女達に褒められたが中身が男の俺からしたらちょっと複雑だ。


「あんな子に男子達デレデレしちゃって」

「うん、ちょっとムカつく」


 この男子達の中に好きな人でもいたのかのかな?

 見た目は小6ぐらいの女の子達だ。たちと言っても4人ぐらいだ。

 これはやきもちを焼かれたなー。


「じゃあ着替えるから男子は出てった」


 男子達の背中を押して廊下へ追い出して着替えは装備覧の変更で終わらす。だが俺はそれをすると着心地が悪く感じるから、基本的に武器や鎧系じゃない限りシステムに頼らず手動でするようにしている。

 インベントリーから服を出して手早く着替えていくが髪の毛が邪魔でしょうがない。


「やっぱり肌しろ~い!」

「輝いてるみたい」

「これを神々しいって言うんじゃなかったっけ?」

「わかんない。アナベル先生にでも聞いてみよ」


 子供たちがキャッキャッと騒いでいる。


「女の子は元気だね~」


 小声で独り言を呟きながら着ていく。


「もうお昼か」

「どうしたの?」

「うん?もうすぐお昼ご飯だなーって思っただけだよ」

「お昼?え、もうお昼なの!!」


 着替え終わった後、幼女がまたくっついて来た。

 上目遣いでまだいて欲しいと言外に伝えてきている。だが流石にもう冒険者協会に行かなくちゃいけない。


「ダメだよ私も行かなくちゃいけないしロザだってご飯食べなくちゃいけないだろ?」

「うぅ~」

「お姉ちゃんもう帰るの?」

「一緒に住もうよ」

「帰っちゃヤダー」


 俺が冒険者協会に行く話をしていると、ロザ以外の子達もいかないでと目をウルウルさせる。それは反則ではないか?


「また来るから泣かないで」

「でも、でもー」


 俺も着替えも終わり子供たちをあやしていると男の子達とシスターが入ってきた。


「あらあら、どうしたんですか?」

「冒険者協会に行くって言ったらこういう感じになっちゃいまして……」

「そうだったの?」


 俺は子供達の頭を撫でながら苦笑いして言うとシスターも同じように苦笑いしていた。


「ほらほら皆、お姉ちゃんを困らせてはいけませんよ」

「「えー」」

「えー、じゃありません」


 それから皆はお昼ご飯という事もあり俺はお暇させてもらった。

 それじゃあ書いて貰った地図通りに行ってみようかな。


 やっとと言う程時間はかからなかった。


「でも結構歩いたんだけどな」


 これも素早さを上げたおかげなんかな?

 それよりもう昼だし協会に入ったらログアウトするか。


「やっぱり厳ついおっちゃんがたくさんいるな」


 両開きの扉を開けアホみたいな感想を漏らして、隅の方の椅子に座りログアウトした。

 入ってきたときからこちらに視線がやっぱり集まった。



   *** ** ***



「腹減った~」


 クゥ~~、と可愛らしくお腹が鳴った。

 そら朝を食べずにいたらお腹もすくよね……。


「手早く今日もうどんでいっか」


 今日は豪勢に温泉卵も追加してネギと天かす、擂りゴマも多めにして食べよ。


「今の身体だとうどん二玉はきついんだよな」


 お腹は満たされているがだがもう少し食べたくなってしまうのを我慢して更新が来ている漫画など読み終わらせてからログインした。

 協会内はログアウトした時より増えており、俺が協会から出て行くと周りのプレイヤーやNPCから好奇の目で見られる。

 子供が来るような所じゃないしな。


「確か隣って言ってよな」

 隣には協会よりは少し小さいが立派な建物が立っていた。看板には袋の中に獣と枝葉が飛び出しているマークが彫られている。


「入ってみるか」


 ドアを潜ると色々な物が置かれていた。スライムの核、瓶に詰められた青い液体、よく分からない毛皮、何かの爪や牙、灰色の羽など、多種類のドロップ品が並べてある。


「え、木や石まで売れんの……こっちは雑草だし………」


 ここやべぇな。

 何でも売れるやん。


「売りたいんですけど」

「品を出しな」


 スライムの核x3、青い液体x1、レンガの破片x4、馬糞x1を試しに売ってみる。


「…………これなら635ギットだ」

「おっ、以外」

「何がだ?」

「いや、スライムの素材だからもうちょい安いかなっと」

「そういう事か。この値段は今回だけだ」


 え、なぜに――


「初回だけ高めに値段付けるようにしてんだよ。今回はスライムの核を151ギット、青い液体を67ギットにしといた。正規の値段だったら82ギットと25ギットだ」

「ありがとうございます!!」


 けっこうな値段を上げてくれてたのには吃驚だな。

 でもお財布はホクホクになったし次も頑張ろ!

 今度は協会で登録でもしておこうかな。

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退化したのだからゲームをする 古希 @coki154

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