心に色彩を取り戻してくれる相手を何と呼ぶのでしょう

こちらの作品は官能的な詩、きゅんとするものからコミカルな小説まで色々なジャンルをお書きになるヒニヨルさんの新作です。

十年前に色々なことがあった男女が久しぶりに会って、他愛のない話をし、ほんの少しだけ冒険をして、そして日常に戻る。その一コマを描いた作品です。

この二人の関係を何と呼べばいいのでしょうか。
当然、恋人ではありませんし、親友というのもちょっと違う気がします。

真面目に一生懸命生きていても、つらいことはありますし、何のために生きているんだろうと感じることは多いです。
そんな時、誰かに役割でなく個人としての魅力を認めてほしい、疲れ果てた時に包んでくれる存在が欲しいと思う時があります。そうした想いを抱く時、身体の関係は別にあってもなくてもいいのです。

この小説に出てくる二人には、十年の時空を飛び越えて認め合い、慈しみ合える関係になれる相手がいるわけで。世の中の倫理感なるものに照らせば、違和感を抱く人もいるのかもしれませんが、私はとてもうらやましい関係だなと思いました。

これは日常から逃げず、真面目に生きている大人にこそ読んでいただきたい小説です。

ぜひ、多くの方にご一読いただきたいと思います!

※お話としての連続性があるかどうかわかりませんが、同じ作者様の過去の小説(モモ🍑シリーズ)もご覧になられると本作の魅力が増すと感じました~。

その他のおすすめレビュー

ネコ?さんの他のおすすめレビュー2,153