天生

交喙

天生

太陽を非表示にして閉じる呼んでもないのに月が再起動


太陽を握り潰して夕空に残ったガラス玉を撫でる


昨日の夜に飲み干した月が腹の中でまた産声をあげる


海の中から太陽が落ちてきたので星は宇宙に逃げたとさ


太陽は冷たいやつです月がいなくても泣いたりしないんです


人々を切り取って太陽に貼りつける不眠症のフラミンゴ


ヒマワリを貪りながらいつだって口の中には雪がいっぱい


背が伸びて伸びて伸びて伸びて泥濘に月落としたい


ショットグラスで満月掬う腐臭に酔ってげろまみれ


月を片目で眺めては瓶詰めにして売りに行く年老いた象


水のないあの海へと星を投げ込んで月を砕き星を砕き


現世には湿った月の匂いだけ流れた星が野良犬になる


野良猫が太陽を壊しただとかそれから月が寝不足だとか


眠れないから背泳ぎで沈んだ星を拾い集めにでもいこう


咳が止まらないと思ったら道理で月が肺に引っかかってた


カラスが鳴いたら落ちた太陽ひとり目を閉じて立ち尽くす月


卵を割ったら月だった双子だった余った月は猫にやる


月の裏側に落ちてたフラミンゴの分際で偉そうに


纏いつく光を剥いだら太陽も象もフラミンゴもおやすみ


太陽を撫でてみたら火傷したのでここからは夜といたします

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天生 交喙 @isuka_ndaru

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