【短歌二十首連作部門】 第2回短歌・俳句コンテスト

日間田葉(ひまだ よう) 

島と山羊と獣と私

イノシシが 掘り残したか 庭の隅 雨後の筍 成長痛


原っぱで ひねもす草はむ ぼっち山羊 仲間欲しいか 我も一人ぞ


メェと鳴く 届かぬ鼻先 ミカン落ち カラスが横取り ベェと嘆く山羊


満月に 毛がそそり立ち 歯がきしむ 山羊が美味しく 見える夜かな


ケンケンと 鳴く鳥探して 庭みれば 山羊の隣で キジも朝飯あさめし


ミカン食べ 育つ山羊みて 皆が言う 焼いて食うのか 鍋にするのか


コウモリに なって飛びたい 霧の朝 窓に映るは ただの人の子


地に伏して 狙うは誰ぞ 目の先よ 山羊の真似して 草をはむ猫


鶯の 谷渡りとは 聞こえよく 雄の仕事は 見張りだけなり


つきすぎた 花を摘み取る ミカンの木 狸じゃれつく 農夫の足元


大ネズミ 捕らえてみれば モグラなり 民家の廊下に 何の御用で


慈しみ 育てた薔薇を 食べられて ネットで検索 山羊肉の値段


荒れはたに 手を加えれば 鳥が減り 見て見ぬふりで 鶯が鳴く


スズメバチ 滅亡すれば 世のためと 腰引けながら まく殺虫剤


群れをなし 柱となって 襲い来る 蚊も集まれば もはや怪物


草刈りを 離れて後追う 小鳥ども 虫はとれたか 小首をかしげる


大ミミズ 地上に出れば 鳥の餌 地下に潜るも イノシシの餌 


ブヒブヒと 闇夜に鳴くは 豚もどき 島のイノシシ ハイブリッド


玄関に ツバメ巣作り 邪魔するな 勝手口から そっと外出


堂々と 歩くイタチの 憎らしい 逃げる速さは 忍びのごとく




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