第18話 地割れ
今日は土曜日だ。
それで明日も休みではある。
だからまあゆっくりしていったら良いと思う。
俺はみんなを見ながらそう思う。
「なあ。加寿子さん」
「は、はい」
「貴方は何故...リア充を辞めたんだ?」
「...簡単に言えば私は許せなかったんです。全てが。だからその事もありリア充も辞めて静かに暮らしたかったんです」
「...辞めるの大変だったんじゃ」
「瑞に暫く私はいじめられましたよ。あの女はクソです。本当に」と眉を顰める加寿子。
俺はその姿を見ながら「...だけとそれでもリア充を辞めたかったんだな」と聞く。
すると加寿子は「うん」と頷く。
「...辞めて自由になりたかった」
「...成程な」
「...何もしたくなくなったから」
「お前は頑張ってもがいたんだな」
「...まあ確かにね。だけど私は逃げただけ。もがいてはない」
そう言いながら加寿子は苦笑する。
それから前を向く。
俺はその姿を見ながら「ふむ」となる。
そして加寿子を改めて見る。
「ねえねえ。加寿子ちゃん」
「はい」
「お友達にならない?」
「え?し、しかし...」
「嫌?」
「...い、嫌って訳じゃないですが...」
それから困惑しながら俺を見てくる加寿子。
俺はその姿を見ながら苦笑いを浮かべながら渚を見る。
渚はニコニコしながら加寿子を見た。
加寿子は少しだけ考え。
それから答えを出す。
「私は友達にはなれません」
「それは何故か聞いてもいい?」
「私自身が其方に戻る気は無いから、です」
「...そっか。じゃあ知り合いなら?」
「知り合いなら大丈夫です。もう友人は暫く作りたくないので...」
そう言いながら加寿子は頭を下げる。
俺は「遠慮しなくても良いんだが」と言うが。
加寿子は断固として譲らない。
俺は頷いた。
「...加寿子さん」
「はい」
「...過去にあまり縛られない様にね」
「...分かっています」
日向がそう言いながらの中。
俺達は少しだけ会話をしてからそのまま図書館を後にした。
その際に...日向と渚は用事があると別れ。
俺と星空。
そして加寿子だけになった。
☆
「...私も帰ります」
「...そうか」
「有難うね。今日は」
「...いや。俺は何もしてない」
それから加寿子は頭を下げて会釈した。
そしてそのまま帰ろうとした時。
「待って」と加寿子に星空が声を発した。
加寿子は「?」を浮かべて星空を見る。
「...その。もし良かったら3人で写真撮らない?」
「え?...な、何でですか?」
「私が撮りたいから」
「良いんじゃないか。スマホで撮ろうか」
「...」
「私なんか撮っても」と加寿子は言うが無理に引っ張った。
それから俺達は夕日の方角で写真を撮る。
そうして「あ」と声を発する星空。
「アドレスが分からない」と言いながら、だ。
「加寿子。アドレス教えてくれるか」
「え?で、でも」
「良いから。教えてくれ」
「...分かった」
しぶしぶながらも加寿子はアドレスを教えてくれた。
それから俺達はスマホに登録。
写真を共有した。
お互いに写真が届き。
それを見合う。
「...アハハ。日が強いね」
「そうだな」
「...でも良い写真です」
「そうだな」
「...正直、これって口だけだよ。...私、加寿子さんのアドレスが知りたかったから」
まさかの言葉に「!」となる加寿子。
俺はその言葉に「そうなのか?」と聞いてしまった。
すると星空は強く頷く。
それからニヤッとして加寿子を見る。
「だってこうまでしないと加寿子さんはアドレスを教えてくれないって思ったから」
「え、えー...」
「...でも良かった。教えてくれて」
「...私なんかのアドレスなんか知って...も」
「それでも私は知りたかった」
そして加寿子に笑みを浮かべる星空。
そうしていると冷めた声がした。
「あれー?菅山じゃん」という感じで、だ。
俺達は「!!!!!」となりながら背後を見る。
「...瑞さん」
「で?アンタも何をしているの?大場ちゃーん」
「...」
そんな感じで困惑している2人を連れてから俺は立ち去ろうとする。
すると「いや。挨拶も無し?立宮君」と言ってきた。
俺は「正直、言う事は何もないですよ。...貴方の妹さんと貴方が何をしたか知っていますよね」と警戒心を露にする。
有山瑞。
黒の長髪にメイクした顔。
顔立ちが整っているが...あまりに歪んでいる。
笑みが、だ。
モデルみたいだがコイツはそういうタイプじゃ無いだろう。
「先ずその薄ら笑い止めてくれますか」
「薄ら笑いにもなるでしょう。だって懐かしい連中が目の前に居るんだし」
「貴方がやった事はろくでもない事ですよ。人の人生を壊している」
「それは菅山が悪いんだよ。頭が良いのを誇りまくるから」
「星空がそんな事をやったとは到底思いません」
「...あ。そういえば付き合っているらしいね。2人」
「とてもお似合いとは思えないなぁ」と言いながらゲラゲラ笑う瑞。
コイツ鬱陶しいな。
そう思いながら眉を顰めていると瑞は「人の人生を壊したっていうのは?私はそうは思わない。そもそも私がやったのは正義だから」と性格が歪んだピエロみたいな笑みを浮かべる瑞。
すると。
目の前にいきなり加寿子が立った。
「撤回して下さい」
「あ?何を?」
「2人はお似合いのカップルだ。そう言われる筋合いはないですよ」
「...お前本気で言ってる?お前の様な分際で何を言ってる?」
「...わ、私は...彼と彼女は計り知れないぐらいに貰ったものがある」
「...」
「毒されたかー」と言いながらゲラゲラ笑いながら瑞はそのまま俺達に目が笑わない歪んだ笑みを浮かべる。
俺達は「...」となりながらその姿を見る。
そして瑞は「謝らないよー」とニヤァッとした。
「...っていうか下級の分際であれこれ言うな」
「...」
そして瑞は「あらあら。待ち合わせに遅れちゃう」と言う。
それから手を俺達に振った。
「じゃあね。また」という感じでだ。
犯罪者の分際をしている癖に。
現在の付き合っている幼馴染の女に浮気されて絶望的すぎるもあり死のうと思ったら昔の幼馴染に逢ったのだが...? アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou
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