海に歸る。

@taidaraboti

第1話

夢の中で戦争をした。

ここがどこなのか。何故戦うのか。知り合いはどうなったか。

そんなことを考えている暇なんてないはずなのに

僕らは無駄を好む。

余計な荷物であって、痛む膝を抱えて登る坂に赤色が溜まる地。

足元を見ると思う。どれが僕の血なのか。

走った。走った。痛みに気付き自覚を得る。

海に飛び込むとよく分かる。自分の血がよく分かる。

青の中にふわふわと浮かぶ赤は僕の体からゆらゆらと。

人は苦しむことで自分の非を理解できる。

魚が群れて僕に言う。

「泳ぐともっと分かるよ。」

もがき苦しむことは生きてる証拠なのだ。

そんなことを知る海なのだ。

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