第2話

「ねぇねぇ、起きて!」


 誰かが体を揺さぶりながら声をかけてくる。その声に反応して目を開けると、周囲には現実とは全く異なる風景が広がっていた。

 緑豊かな森、遠くに見える輝く都市、そして空を優雅に舞う色とりどりの鳥たち。まるでファンタジーの中に迷い込んだような感覚だ。


「すごい…ここ、本当にゲームの中なの?」


 彩音は自分の手足を動かしてみる。現実と同じように動くその感覚に驚きを隠せない。これが最先端技術の力なのか。


「おーい、僕のこと見えてる?」


 突然聞こえてきた声に、彩音はハッと我に返る。目の前には小さなパンダのぬいぐるみが立っていた。彼は少し拗ねたような表情をしている。


「ごめんね。君は誰?」


「も〜、ちゃんと見てよ!僕は『Love Quest』の案内人のミラだよ!彩音ちゃんにこのゲームの説明をしてあげる!」


 ミラは誇らしげに胸を張りながら言った。その可愛らしい姿に、笑ってはいけないと思いつつも、彩音は思わず笑みを浮かべてしまう。


「僕のこと見て笑ったなー。そんな態度じゃ説明してあげないぞ!」


「ごめんごめん、本当に興味があるんだ。詳しく教えて!」


 ミラは満足そうに頷き、ゲームの説明を始めた。


「まず、Love Questは恋愛と冒険がテーマになっているんだ。君はこの世界で様々なキャラクターと出会って、友情や恋愛を深めながら、数々のクエストをクリアしていくんだよ。目的は、最終的に君の理想のパートナーと結ばれることさ!」


 彩音は目を輝かせながら聞き入っていた。毎日の単調な日々に飽きていたが、Love Questではどんな新しい冒険が待っているのだろうか。

 胸が高鳴るのを感じながら、パンダの説明に耳を傾け続けた。


「この世界にはLove Questに住んでいる住人もいれば、彩音ちゃんみたいに外から遊びに来ている人もいるよ!刺激や嗅覚、味覚、感情全てリンクされてるから普通に過ごすだけでも楽しいんだよ!」


 パンダが話を終えると、スマホを手渡してきた。


「ゲームをするにあたって、スマホをあげるからルールや注意事項を自分で確認してみてね!分からないことは聞いて!」


 彩音はスマホを受け取り、開いてみるとルール説明が書かれていた。


 LOVE Questはクエストを通じて愛情ゲージや友情ゲージを貯めていくゲームです。以下のルールに従って遊んでください。


1. ゲージを100%まで貯めるとプレゼントあり。

2. ゲージのパーセントは他人に言ってはならない。

3. クエストは1週間に1回は必ず行う。

4. ルールを破ったものはLOVE Questから追放する。


「ゲージ?」


「ゲージはね〜、誰かに会わないと見えないから広場に向かってみようか!」


 彩音はミラの案内に従って歩き出した。広場に到着すると、沢山の人たちが行き交い、まるで現実の街のように賑わっていた。

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LoveQuest ゆぅさん @yu_san067

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