僕が先に好きだったのに。
これだけ聞くとどこかのラブソングみたいな趣さえあるフレーズ。
切なさや甘酸っぱさを含めながらも、俗に「脳破壊」と呼ばれるショック症状も愉しむことが出来るとされる魅惑の言葉。
NTR(ネトラレ)と比較されるこのワードについて、作者の意見が炸裂します。
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BSSという言葉は今回初めて知りましたが……
「相手に先手を取られるまで悩んだ挙句、告白も出来ずに散った事実を延々悔やみ続ける」という状況を、
ヘタレ、未熟、意気地なし、軟弱者と見做すべきなのか、
人生の綾として捉えるべきなのかによって随分変わってきますよね。
(「僕」という一人称からして前者の要素がかなり大きい気もしますが)
文学作品でも「一人で思慕を募らせていたが、身分や年齢の違い、事件によって諦めざるを得なくなった」というシチュエーションはあるはずで、
作者の仰っていた「(精神的な)関係の略奪」というのは、BSSとは何なのかを端的に示しているように見えました。
個人的な意見ではありますが、
元々モブキャラクターだったりサブヒロインのような立ち位置だった人物が主役補正を受けてハッピーエンドになるようなifストーリーが人気を博したように、
今度は元々主役になるような人物がモブ補正を受けて早々にノーマルエンドを迎えるようなifの流れなのかなとも感じられました。
NTRは(主役目線からは)はっきりとした悲劇でしょうが、BSSはそもそも劇が始まらずして終わってしまう。
発芽することなく朽ちた恋の種。その空しさが、我々を引き寄せるのかもしれません。