第15話 次の街へ
私とリナは服を着て、ドラゴンさんのところへと戻ってきた。ドラゴンさんは、私たちを優しく微笑んで迎えてくれた。
「その顔は、ダメだったかのう」
「……うん」
「そうか」
一番悲しいのはリナだから。ずっと下を向いて喋らなかった。いつもムードを作ってくれていた子が元気をなくすと、場はどうやっても明るくならない。
涼しい風が、頬を撫でていくように吹き抜けた。
「……けど、私諦めないから」
力強く言うリナの目には、もう涙は無かった。前に進んでいこうっていう、強い意志を感じる目をしていた。
「私専用のおじさん。また、違うところに連れて行って欲しい」
リナがそういうと、ドラゴンさんはニコッと笑った。
「もちろんじゃ。ヌシは、ワシの友達じゃからの」
「……友達じゃないし、おじさんはおじさん。それ以上でもそれ以下でもないよ。勘違いしないでよね」
少し、リナの元気が戻ってきたのかな。また憎まれ口を叩き出してきたようだった。……はぁ、まったく。
「ドラさん。私、私からもお願いします」
「……はて? ドラさんとは、ワシの呼び方か?」
「親しみも込めて、そう呼ばせて下さいよ。リナみたいにおじさんなんて呼べないですから」
「ガッハッハ。良いぞ! 良い呼び名じゃ!」
笑ってくれてるドラさんの背の方に回って、二人でまたがった。リナが前で、私が後ろで。リナを抱きかかえるようにドラゴンにまたがる。
「それでは、次の目的地へ行くとするかの。次はどこへ行くのじゃ」
「んとね。ゴーレムの情報収集がしたいから、大きな街に行きたい」
「私は、泥でグチャグチャになったから、できれば温泉があるところが良いな」
「ほうほう、どちらでも良いぞ。それでは、その街のある方向を言ってくれ。わしはどっちへ行けばいいのじゃ?」
ドラさんの質問は、先に空へと飛び立っていったような。ふわふわと、のどかな時間が湖畔に流れた。
私はリナの答えを待っていたけど、リナも私の答えを待っているようだった。お互いに譲っているわけじゃなくて、どう行けばいいかを知らなかったから黙っていたわけで。もしくは、ドラゴンさんが知っているのを期待して、聞いてみたんだけれども……。
「なんじゃ。誰も、わからないのか?」
「はぁ……。おばちゃんさ、この世界に生まれて何年だよ。そんな歳になるまで生きてきて、何も学んでないの? 知ってる知識と言えば、全部エッチなことだし。毎日そんなことしか考えてないんでしょ?」
「うるさいな。私は、ギルドを出たことがないの! 外の世界なんて知らないのよ」
「もう、役立たず。ほんと、
「はーーっ?! 身体は関係ないでしょっっ!!!!」
「関係あるよ。後ろから抱かれると、なんか痛いんだよ。ママみたいにさ、もっとふくよかになったらいいのに。女としての魅力がないよね」
「おいおい! 私は、リナのママじゃ……」
……って、今さっきお母さんを失ったような子に対して、それを否定してやるのも可哀想か。リナのママゴーレムができるまでは、私が面倒を見るって決めたしね。
ふぅーーー……。6秒待って、心を落ち着かせて……。
「……ほら、ちょっと、ほら触ってごらんよ、ちゃんと膨らみあるからさ。ママだと思って、おっぱい吸ってみてもいいよ?」
「……だからさ。それが古いんだってば。子供を見れば『おっぱい』って思ってるの? 発想が貧相。おばちゃんの胸と一緒」
……っくぅ。ちょっと甘やかしてやろうと思えば、こいつはっっ!!!!
「なになに? おばちゃん痛いよ! そんなに強く抱いて、骨が当たるんだってば!」
「貧相な身体って、こういう時に役に立つみたいだよっ!! 一つ利口になったわね!! リナはまだ子供だから、知らないこと多いんだもんねーーー?!」
「……っくーーー!! 子ども扱いするんじゃねーよ! ばかっっっ!!!!」
「おいこらっっ!! ばかって言った方が、ばかなんですよーー!!」
「こらぁ、くそばばあーーー!! 乳首取るぞ!」
「あらっ?! やっぱり好きなんじゃない? おっぱいが!」
リナが暴れようとするけど、私がリナの手を抑えているから、暴れられないでいる。ははは。これが大人の力っていうやつよ!けど、結構暴れるな……。思ったよりも強いな……。
「おいおい、ワシの上で喧嘩せんでくれ。そんなことしとらんで、そろそろ出発するぞ」
「「……はーい」」
リナと私は姿勢を正した。少し暴れて満足したのか、リナは大人しくしてる。まぁ、リナみたいな歳の子には、こんな風にじゃれ合う相手も必要だよね。
「じゃあ、ドラさんお願いします!」
「あい、わかった。まぁ、気ままに好きな方向に進んでいっても、目的があればいつか辿りつくじゃろうて」
「それじゃ、私はこっちが良いな。おばちゃん。こっちの方が良いことありそうだと思うよ!」
「いいよ、リナの思う方向で」
「ありがとう、おばちゃん!」
「まぁ、けどさ。そろそろ、私のことは名前で呼びなさいよね!」
「そんなの、絶対呼ばないよ。おばちゃん!」
そんな軽口を利くリナ。
それでもリナは、私と手をつないでくれる。
ギューッと強く。それは怒りとか憎しみとかじゃなくて。信頼しているような握り方。私をずっと離さないというように、強く握る。
「それじゃあ、次の街を目指して、いってみようーー!」
了
✼••┈┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈┈••✼
これにて、この物語は終わりとなります。ご愛読ありがとうございました。
拙くて、短い物語でしたけれども、楽しんで頂けていましたら幸いです。(*_ _)
この作品は、『第6回ドラゴンノベルス小説コンテスト』に応募している作品になっております。
正直な話、ちょっと☆が少ないので、コンテスト的にはダメでしょうけれども。
それでも、作者としてはめげずに、また次の物語を書くべき、筆を進めていく所存です。
もし、少しでも楽しかったーーと思って頂けましたら、作者フォローでもしてやってくださいませ。
わたくし『米太郎』の次回作にご期待くださいませ。ヾ(*´˘`*)
もし、この作品はイマイチだったということであれば。
次こそは、絶対に楽しませてみせるんだからねーーーー!!!!
また、どこかで会えるよう、頑張って書き続けたいと思います。
あとがきは、
以上でございます。(*_ _)
それでは、最後にあらためまして。
小説に出てきたキャラクターともども、お礼を言いたいと思います。
「「最後までお読みいただきまして、どうもありがとうございました!!」」
主演:三十路ギルド嬢 ルナちゃん
助演:転生メスガキ リナちゃん
助演: ギルドマスター
助演: ドラさん
助演: リナのママ
語り:米太郎
でお送りしました。
それでは、またお会いしましょー。ヾ(*´˘`*)
✼••┈┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈┈••✼
三十路のギルド嬢は、異世界転生してきたメスガキを粛清したい! 米太郎 @tahoshi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます