お人形さん。 現代の私たちのイメージとしては、子供がよく持っていたりする、可愛いものですよね。 冒頭は、そのお人形さんのいわれ(由緒)からはじまります。 ところが、読んでいくうちに、このお人形さんの事情がわかってきて、どんどん怖くなっていくのです。 こうなったら読むのも、お人形さんも、もう止められません。
お人形さんとの会話。徐々に姿をあらわしてくる、その輪郭、真実、そして……。ずぶりと恐怖に沈みたい方にお勧めの一編です。
かつて、主の身に触り掛かる災い穢れを形代に移すモノ。可憐で美しい『お人形』は、主の身を守って来たが…。 謎の多い作品であるが故に、幾つもの背景を想像する。それなりに大切にされてきたのではなかったのか。あれほどに美しくも精巧に造られたがゆえに。お人形さん の夢と目覚めは奈落の底へ。そのヒトガタの組成は何であったのか。気にはなるが、知るのは怖い。因果応報と怨嗟の闇を垣間見るようで。