第2話

ぴぴぴ..(目覚まし時計)、しゅっ(カーテンを開ける)、ガチャ(部屋を出る)、カシャカシャ(歯磨き)、バシャ(顔を洗う)、モゾモゾ(着替える)、しかめっつら(メイク)、最後に静かに


「行ってきまーす」


 私の朝は5時から始まる。自分でも早いと思うが、この時間帯が1番好きなのだ。支度をし外に出ると冷たい空気が肺を満たす。まだ5時43分、東側の空がぼんやりと明るくなってきた。私は自転車に乗り目的地を考えながら漕ぎ出す。あーどこに行こうかな、川は2日連続で行ったし、、そうだ、久しぶりにたまちゃんに会いに行こう。そう思うと行先を公園に定めて自転車を加速した。


 6時15分公園に着いた。自転車をはじに止め、ベンチへと向かう。


「いた!たまちゃん!!相変わらず可愛いいでちゅね〜」


 ベンチに座っていたのは茶トラ猫のたまちゃん。たまちゃんは目を細めながら私を見つめてくる。もぉほんとかわちぃ。私は昔から子供とか動物から嫌われるタイプだったが、たまちゃんは何も動じず静かに私の手を受け入れてくれる。フサフサして気持ちいい。幸福感がえげつない。


「今日もよろしく」


 私はカバンからスケッチブックと鉛筆を取り出し、たまちゃんを描き出した。もちろんたまちゃんはベンチで私は地べただ。ただ小学一年生から使っているイチゴ柄のシートを敷いて。


 私の1日は日常風景や動物、食べ物などをデッサンすることから始まる。なぜ朝なのか。別に夕方や夜でもいいのだが、今は1番早朝が好きだからだ。誰もいない町、自分の呼吸音しか聞こえない、そんな状況が心地いい。


 たまちゃんは目を瞑り寝始める。私は起こさないよう観察しながらペンを進める。手入れされた毛並み、よく見るとふくよかな首の周りには鈴がついている。たぶんこの子は飼い猫なのだろう。茶トラ柄の身体が太陽にだんだん照らされていく。

 熱中して書き終わる頃には7時をちょい過ぎていた。まだ、学校までには時間がある。それではお待ちかね、恒例のたまちゃんとの会話を楽しむにするか。


「たまちゃん、モデルありがとうね」


そう言ってナデナデもちもちするが全く動じない。さすがたまさん。私は友達がいな、、一匹狼なので話し相手があまりいない。だからこうして週に1回はたまちゃんに会っておしゃべり(一方的に)している。


色々喋っていたら急に奴のことを思い出した。

たぶんスマホにきたニュースの通知を見たからだろう。『たぬき逆立ちで撮影者煽る』。


「てか聞いて、美術の課題で苦手な子とペアになった」


私はゲンナリした顔で言った。


過去に戻れるんだったらくじ引きを引き直したい。なぜ脳内星屑やろうとペアになったのか。あの人の話を聞いてるようで聞いてないフワフワした雰囲気、パーソナルスペースという言葉を知らないのか、ズカズカと割り込んでくる態度。思えば、初めて会った時から自分の中の危険信号が発動してた。


初めて会ったのは、彼女が転校してきた日。いつものように私は早朝の日課であるデッサンをしていた。よりにもよって学校で。とてもグランドピアノを描きたくなったから、でも家にはない、そうだ音楽室に行こう。そんなこんなで学校に侵入、、登校した。こんなことは過去にも何回かある。

その日のデッサンは自分の中ではかなり上出来のほうだった。

思ったより日課を早く終えて、出来栄えも上々だったので気分が良かった。その後家から持ってきたおにぎりを食べ優雅にお茶を飲んで、少し寝てしまった。

15分ぐらい経っただろうか、何か人の気配を感じた。

目を開けると顔と顔が衝突しそうなほどの距離に彼女がいた。

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スターゲイザーとアウトサイダーギャル はらぺこチワプ @0331157

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