スターゲイザーとアウトサイダーギャル
はらぺこチワプ
第1話
スターゲイザー
彼女は冬に転校してきた。髪型はコンパクトショートで女子の割に身長も高いが、顔は狸みたいで可愛い。そんでもって元気で性格もいいからすぐ周りに人ができて、入学した当初から皆んなと青春を築いできました、的な感じでクラスの人気者になっていた。私よりも馴染んでいた。
ある日、美術の授業で2人1組になって一枚の絵を描く課題が出た。相手はくじ引きで決められる。全くもって最悪である。なんで今クラスで1番ホットな人気者とクラスで1番嫌われ者の私がペアになったのか。
「もえかちゃんだよね、よろしくね」
彼女の笑顔は無垢で愛嬌がある。本当に私とは真反対の人間だ。反対に私は彼女の挨拶に無視をした。愛嬌もクソもない。そんな状況に周りからの冷たい目線が突き刺さる。
「スターゲイザー大丈夫?あのアウトサイダーギャルになんかされなかった?」
クラスの女子が彼女に尋ねた。
おいおいカタカナが多いな。誰だセンスのないあだ名を考えた奴は。どうせ一軍の野球猿坊主ハゲのあいつだろ!..あっ、私もセンスないっぽい...
話を戻そう。スターゲイザーは彼女のことだ。星とか好きで天体観測をしてたからそんなあだ名がついたんだろう。一方アウトサイダーギャル、私のあだ名だ。まぁ、昔は私も普通にクラスの一員だった。けれどある子とのいざこざで今は蚊帳の外。でも1人が好きな私はそんなの平気だ。いわば一匹狼、カッコ良すぎる。
キーコーンカーコーン
「えー絵は一ヶ月後、12月11日に提出なー。んで何描いてもいいしどんな形で描いてもいいけど、絶対ペアと共同で一枚の絵を完成させろよー」
ほんとに嫌いだこの教師。2人で一枚の絵とか意味不明だし、なぜ2人なのか。1人で描きたい派の私には重荷な課題すぎる。
授業が終わり周りのものを片付けている時、奴はまた来た。
「ねね、もえかちゃん絵とか描くの得意?私全然ダメダメで」
この娘、さっき私が無視してきたのにペラペラとよく喋る。すげぇ、度胸してるな。とは思いつつもなんか答えてあげなきゃ流石に可哀想。
「べつに」
「えっ、得意ってこと?てか髪色金キラキンなのいいね〜」
のほほんとしやがって、得意とも不得意とも答えてないのに違う話になったし、もう分かる。私はこの脳内星屑やろうのこと苦手だ、そして波長も合わない。最悪のコンビすぎる。
「ねぇ、提案なんだけど、私1人で絵を描くのが好きなの。だから課題は私1人でやるからあなたは12月11日まで私に近寄らないで」
「え、流石にそれはダメだよ」
くそ〜なぜわかったと頷かないんだ
「課題の条件は2人で一枚の絵を完成させるだよ?まぁ、確かに私絵へたっぴだし..」
そういう彼女は俯き何かを考えてた、そして思いもしない提案をしてきた。
「あっ、そうだ私は絵描くの本当に苦手だからさ、絵はもえかちゃんが描いて、絵のモデルを私がやるっていうのはどう?」
なぜそうなるぅぅぅ
「意味不明すぎるだけど」
「だって先生はどんな形で描いてもいいって言ってるから、私はモデルでもいいのかなーって、それに絶対共同で作品を作るって条件もあるしね⭐︎」
⭐︎!じゃねーんだよ、なんだその一休さん持論、意味わからん!!
「ってことでよろしくね!!また明日ね〜」
そのまま彼女は言ってしまった。私は圧倒されて何も言えなかった。なんで逃げ足だけは早いの、もう泣きそう。
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