第22話 cold rain

そのうち、雨が降って来た。


戦士たちは、戦地から少し離れた即席の駐車場に足早に駆け、車に乗り込んでいく。徳山もまた、権田の廻していた車に乗り込ませてもらった。大和はというと、別の車両の軽トラックの荷台に乗り、ビニールシートをかぶって雨風を凌いでいる。


「あやつは外が好きやけえ、雨でもあないしておる。」と権田は言い、大和のことを言った。


そして、ついでに言うようにして「おまん、やはりなかなかやりよる。他の助けなしに、無傷というのは、そうそうおらん。」と権田は付け足した。徳山はその損得勘定のない率直で簡潔な誉め言葉になんだかむず痒いような感じがした。


「俺に誉め言葉は性に合わねえよ。やめてくれい。」と徳山は照れ隠しに答えていた。


マクラーレンのセナはエンジン音を高らかに鳴らしながら、現場を離れた。

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