すっぽりと蓋をして

高黄森哉

すっぽりと蓋をして


 今日は曇りだ。


 公園でただ独り、

 何をするもなく、立っている。


 頭上には、

 誰もどこへいけないように、天球が蓋をする。


 誰もどこへいかないから、ひとりにはなれないように、

 銀の裏地を見せている。


 風が吹いて、冷たいが、

 枯れ葉を爽快に吹き飛ばす。


 新しい枯れ葉に舞台をゆずり、

 私たちの時代がやってくる。


 雨が降ってきて、

 冷たい涙をぬぐい去る。


 冷たい雫こそ、うだる熱波を奪い去る。

 

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すっぽりと蓋をして 高黄森哉 @kamikawa2001

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