第14話 開始
斉藤宅に着いた仙人達、車を降りる前に
「先に、娘さんの様子を確認します」
「でも、できるでしょうか? あの妹の様子では難しいかと」
家を出る前の姿を思い出し首を捻る浩子
「最悪、部屋の外から視て、もし危険な状態なら有無を言わせずになりますが」
「そうですね。分かりました」
車を降りて家に入った瞬間
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
桂子の悲鳴が聞こえて、仙人を先頭に2階の部屋に入ると
「これは……」
「あっ?! 桂子? 桂子?!」
先に部屋に入った仙人を押しのけて部屋に入る浩子。目の前には、お腹を鋏で刺され倒れている桂子の姿があった。
「すぐ、救急車を呼びます!」
「嫌、救急車は駄目です。直に、病院に連れて行って下さい」
絵美が救急車を呼ぼうとして止める仙人
「何を言ってるの?!」
仙人に詰め寄る浩子
「救急隊の人が入ったら間違いなく警察が来ます。家の中が立ち入り禁止になったら娘さんのお祓いも難しくなり助からなくなります。下手したら、周りにも被害が出ます」
言われて、ハッとする浩子
「幸い血はそこまで出ていません。絵美さんと一緒に勤め先の病院にお願いします」
「……分かりました。絵美ちゃんお願いね」
頷く絵美。仙人は桂子を抱える。大人の女性とは思えない軽さだが、理由は分かるので驚く事なく車まで運んだ
「そう言えば、仙人さん、廃屋にはどうやって行くんですか?」
聞いてくる絵美に、無言で家の壁に視線を向けると、そこに仙人の乗って来たバイクがあった
「えっ?! いつの間に?!」
「知り合いの知り合いに頼みました。此方の事はおまかせ下さい。桂子さんの事は頼みます」
頷く絵美と浩子。2人が、病院に行くのを見送り千草に振り返ると
「まず家の周りに結界を張りましょう」
「分かりました。」
仙人の指示で、千草は壁に絵馬の九字を設置していく
仙人は経文を書いた札を4箇所貼り付けた
「四方を守護せし四神、玄武・青龍・白虎・朱雀・九字の力も持って守りたまえ【四神結界】」
仙人が唱えると、全ての絵馬と札が一瞬、淡い光を浮かべた
「お見事です」
「ありがとう。でも、これでもどうなるかだな。では、部屋に戻ろう」
頷く千草。部屋に戻ると、塩と護符を入れた御守りを部屋の四隅に設置した。千草が美優が寝ているベットの、正面に来る部屋の真ん中あたりに座った
「此方は、大丈夫です。廃屋お願いします」
軽く頭を下げて言う千草
「分かりました。お願いします」
家を出て自分のバイクに乗る仙人
「(……ここからが、本番だ)」
途中、アクシデントもあったが、意識を切り替え廃屋に向かった
廃屋の前に着くと、2人の黒服を着た人間が立っていた。仙人に気付くと姿勢を正す
「此方が、この囲いに設置している扉の鍵になります」
「ありがとう。君達は、危ないから離れていて下さい。終わったら連絡します」
鍵を受け取る仙人。2人は、一礼するとすぐに姿を消した。
「よし、やるか」
何時も持っている黒鞄ではなく、通哉から受け取った袋から12枚の絵馬を取り出して囲いに設置していく。
設置が終わり入り口の前に立ち目を閉じ印を結ぶ
「天を持って地を持って人の身で禍を封じる功をここにつどえし・騰蛇・朱雀・六合・匂陣・青龍・貴人・天后・大陰・玄武・大褒・白虎・天空・囲いて
斉藤宅よりも、明るい光が絵馬から発せられ、1つ1つの絵馬が光で繋がり廃屋を囲っていく
暫くして光は徐々に消えていった
扉の鍵を開ける仙人。ノブを摑み目を閉じて深呼吸する。ゆっくり目を開き
「……行くか」
静かに扉を開いて中に入った
かつて蔓延っていた魑魅魍魎。現代に復活する?!! きぷ @keepmy
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