バイトの新人はボクっ娘!



「マスターこんちゃ。」


「おう。前も言ったが今日は新しい人が来るから唯一の先輩としてしっかりやれよ!」


「わかってますって。その人って可愛いんです?」


「それは秘密よ。そっちの方が楽しみだろ。」


「まぁそうだけど…。」


 この人は武見宏。昔ちょっとした事で知り合って以降なんだかんだ付き合いがある俺のバイト先のマスターだ。

 ちなみにお店はカフェをやっている。

 数年前にオープンしたばかりで地元ではそこそこに人気なお店だ。俺は高校生になってバイトを始めるということを武見さんに言ったら「ならここでやるか?」と言われここで働くことにした。

 人気なお店とは言っても常に人がいる訳では無いためバイトも俺一人ぐらいで十分だったらしいが最近は客も増えて大変になったらしく新たに1人募集したそう。

 そこで選ばれたのが今日新しくはいる子だ。


 その後も新しい子が来るまでマスターとふたりで世間話をしていると新しい子が来たようだ。


ガチャ―


 「失礼します。今日からバイトを始める新島聖です。よろしくお願いします。」


 入ってきた子はめちゃ可愛い。

 すらっとしたスタイルで身長は女性にしてはすごく高い。しかも出てるところはある部分を除いてしっかり出ているまさに完璧なスタイルである。

 壁。と言えば分かるだろう。

 髪色は大和撫子のような黒色のショートヘアで顔のパーツはしっかりと整っている。


 と、そこまで見て俺は気づいた。この特徴的な名前。多分俺の隣のクラスの子じゃね?と。


「あ、一応ここのバイトの先輩になる佐倉渚です。

 もしかしてですけど武蔵台の2500の新島さんですよね?」


「いや、ボクはその高校には通ってないよ。」


「そうですか。でも同じ名前の娘が隣のクラスにいるんですけど…。」


「絶対人違いだよ!ほら、その子とボクの見た目全然違うと思うんだけどな。」


「確かに隣のクラスの子は…見た目が違いますね。

 どうやら俺の勘違いだったみたいです。」


「そうだよ。うん。でも今見た目のことを言う時にボクのその…胸を見て言ったよね。」


「い、いや。そんなことないですけど。」


 鋭い!


「ボクだって嫌だけど本当は…いやっ、なんでもない!

 とにかく、許すのは今回だけだから。次は許さないよ。」


「すみませんでした。」


 くっそー。せっかく可愛い子が来たのに俺の馬鹿野郎!絶対変態だと思われたよなぁ〜。


「とりあえず、今日はマスターに色々教えて貰いながらやればいいよ。」


「そうだな。新島さんが先ずどれくらいのことが出来るかを試してから何を任せるか決めるからちょっとこっちでやろうか。」


「わかりました。」


 「じゃあその間頼んだぞ。」


「わかりました。」


 そう言って二人は店の奥へと入っていった。


 そういえば俺が勘違いした新島さんの家はこの当たりでは有名な資産家の家であり、そこの娘である新島さんは親から色々な英才教育を受けてるとか何とか。そんな人がうちの学校に来たということで一時期すごい話題になった。

 もちろんそんなことがあり学校ではとても人気だ。


 とりあえず今日はお客さんは少なめだしゆったりとやっていけばいいか。





 しばらくすると二人が奥の部屋から出てきた。


「よし。とりあえずは出し物と片付けを任せることにするよ。料理の方は…またの機会ということで。それでいいかい?」


「はい。ボクとしても料理はやってみたいですけどそれよりはまだ体を使ったものの方が最初はやりやすいのでそっちの方がいいです。」


「よし、それじゃあそこの席を使って料理を運ぶ練習と食器類を片付ける練習をしようか。とは言ってもそこまで重いものは無いから主にやるのは出し方とか下げ方の方だけどな。」


「わかりました。よろしくお願いします。」


「ということだから渚。引き続き任せたぞ。」


「了解です。」


 と言ってあの二人はほとんど座る人がいない奥の方の席を使って講習?を始めた。





 しばらく仕事をしてお客さんもいなくなった頃にはどうやらあの二人も終わったみたいだ。


「新島さんは筋がいいな。運び方もしっかりしているし食器の扱い方も綺麗だ。本当に初めてなのか疑問に思うくらいには上手いぞ。」


「初めてですよ!」


「だったら相当すごいな。あんなに音を立てずに置けるなんてまるでお嬢様みたいだな。」


「そそそそんなわけないじゃないですか!ボクはただ運動神経がいいだけですよ。」


「そうか。でもこれだけしっかりとできるなら料理の方の特訓をした方が有意義かもな。どうするかい新島さん。」


「せっかくならやってみたいですね。ボクは一度も料理を作ったことがないので自信はないですけど。」


「安心しな。渚だって最初は下手だったからな。」


「そうだよ。俺ですら今はしっかりできるんだから新島さんなら大丈夫だって。」


「まぁすぐには決めなくていいよ。いつかやればいいしな。もう時間だし二人ともあがりな。」


「ほんとだ。もうこんな時間か。なら俺は上あがりますね。」


「ボクもあがります。」


「じゃあお疲れ様。」


「「お疲れ様でした。」」


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 クロリンデ欲しい!

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カルテットガールズ〜こんな青春は望んでいない!〜 スパルタンEX @gerogerosama0608

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