第5話 「外の世界」

俺たちは空間転移でエルフの村の付近まで辿り着いた。流石に大量の魔力を消耗したもので、俺は立っていられなかった。


「はぁ...はぁ...」


「大丈夫ですかユウマさん?」


フィーンが心配そうにこちらをみてきた。


「あっ、、あぁ大丈夫だ、少し魔力を使いすぎただけさ」


俺は目眩を凌いで立ち上がった。


「ユウマさん、そのままでは危険なので、ここからは僕らに任せてください。」


リクはそう言い、正気の戻ったエルフたちと呪文を唱えた、すると、周りが光り俺らは瞬時に転送された。



「こ、ここはっ!」


フィーンが声を上げてしまった。無理もない。俺たちの目の前に広がっているのは、本の中にしか記載されてない「エルフの森」だった。


「転移魔法ですか?」


シファーが冷静に質問を投げかけた。


「はい。ユウマさんのおかげで、森の近くに着いたので、一定距離内であれば、転移魔法を使えるんです」


「なるほどな、しかも何層も結界が張られている。この結界...ハーベスト王国のと構造が似てるな」


「ここからは、ユウマさんの質問も兼ねて順を追って説明したいと思います。ですがその前に」


「よくぞ来てくださいました、ユウマ様、フィーン様」


そこにはエルフの老人が迎えに来てくれてた。



「私の名前はゴルと申します。このエルフの森の長を務めています。長旅お疲れの様でしたね、ささ、こちらへ、宴席も住処も用意しておりますので」


「本当か、ありがとうな爺さん」


ロゼリアは食い気味に言った。俺たちはそのまま宴会場へ向かった。


宴会には多くのエルフが居た。


リクが司会者になり、この道中に起こったことを話した。エルフは皆友好的だったx俺たちのことをとても歓迎していた。特にフィーンに対する態度は本当に「救世主」を目の当たりにした様な態度だった。それで誰かを責めることもなかった。どうやら、古くから瘴気は対策ができないものらしい。だがエルフ族には特別の聖魔法があるらしい。


「ユウマさん、お身体は大丈夫でしょうか?」


「あぁ、お陰様でな、すまんな心配かけた。」


「いいえいいえ、コホン、では本題の、ユウマさんの質問に答えさせて頂きます。」


「私も同席させて頂きますぞ。」


長も隣に座った。


「あぁ構わない。」


「リク、まず、伝説を語ったのは誰か。なのですが。


セスティ様です。伝承によるとセスティ様が我々を守ってくださったのです。世界が瘴気に襲われる中...」


「そうか...瘴気は確かに存在したのだな、結界..いやセスティの「祝福」のおかげでこの森も瘴気に襲われてないってことか」


「はい。それでセスティ様から一週間前に、勇者に復活の知らせを頂いたので、向かわせて頂きました。」


「で瘴気にやられたと...ロゼリア!」


俺はロゼリアを呼んだ、それとさっき俺たちを襲ったエルフたちも。ロゼリアは表情がかなり暗かった。


「確かお前らは記憶は残ってるんだったな、あぁ、処罰の件はもうなしにするよ、あれは不可抗力だったからな」


「あぁ、面目ねえ...リク、みんな、本当に申し訳なかった..!」


ロゼリアとエルフたちが深く頭を下げた。


「もう大丈夫ですよ、仕方ないのは分かってますので。」



「ありがとうな...それで、記憶がきちんと覚えているのもそうなんだけど、体が何かに操られてた感じがした」


ロゼリアがそういうと他のエルフ達も頷いた。


「操られた...フィーンは?さっきの治癒魔術を使う時何か違和感はなかったか?」


「私は...ただ体の奥から魔力が湧き上がって、呪文が脳裏に浮かんで、初めてみたのですが、これなら救えると言う確信を抱きました。」


「そうか...リクは言い伝えにそれに関することは何か知らないか?歴史や瘴気についても、ひょっとすると《始まりの書》との記載が違う箇所があるのかもしれない。」


俺はエアタイで《始まりの書》を作り出した。


「そう言えば、シファーさんはどちらに?」


「あぁシファーか、なんか結界の研究をするとか言って外に出てたぜ。」


「はい。ガーベスト王国との結界の違いが何かとかブツブツ言ってたので、恐らくの探索に」


「働き者だなぁ..」


ロゼリアは呆れ気味に言った。


「リク、では、これから言い伝えを語っていきたいと思うのですが、ご準備よろしいでしょうか?」


「あぁ。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


《エルフの言い伝え》


この言い伝えは君たちが世界を守るためのマニュアルだと思っても良い。


先に伝説から説明しましょう。


1500年前、世界を滅ぼそうとするXの極魔法から自らを守るため、私と勇者とXXは、「エルフィリック結界」を作りました。この結界はXXからの攻撃を守るためである。


君たちエルフには大きな役目があります。ガーベスト王国にいつか勇者がこの森へきます。ガーベストでは伝承が違うので、この内容をちゃんとお伝えするのです。


この森には聖魔法がかけられてるので、資源は枯れませんし快適に生活できます。

もし勇者がこちらへ来たのであれば、次の目的地は「巨人の平地」ですよ。ユウマ。


セスティ

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「これは..」


俺は得た情報を整っていた。


「あぁ....やばいぜ、このネーミングセンス」


「そこじゃないでしょう!」


フィーンがツッコミを入れた。


「ただいま戻りました。」


「シファー、おつかれ、何かわかったか?」


「はい、とても高レベルの聖魔法でした。これなら瘴気などの侵入はあり得ないでしょう。今は」


「え、今はって...?」


フィーンが疑問の声を上げた


「はい。弱まってます。結界が」


「はい、ですから僕たちが急いでユウマさんたちを迎えに行ったのです」


俺はみんなに声をかけた。


「よし、みんな、今分かったことは三つある。


一つ、エルフの森が無事と言うことは別の地域も大概結界のおかげで無事だと考えられる。だが恐らくそこも結界が弱まっている。


二つ、言い伝えが違う点だ。セスティ側にはもう一人協力者がいた。


三つ、この言い伝えはセスティが言ったものだ。


以上だ。」


「そうですね、私たちが聞いてた内容とは結構異なっておりますわ。」


「それも気になるけど、ユウマ私から一つ質問があります。」


シファーが鋭い目でこちらを見つけている。


「先ほどの転移魔法、あれは「魔王」にしか使えない技のはずです。いくら属性魔法を使えるとは言え、伝説の魔法を使えるのは流石に怪しいと思うのですが」


「なるほどな、まぁ疑われても無理はないが、実は俺も分からないんだ。勝手にその魔法が思い浮かんで、勝手に使ったんだ」


「そう言う答えでは納得できません、あなたは勇者なのですよ、どうして魔王の魔法が使えるんですか?これでは分からないので、その体を解剖して魔術回路を隅々まで調べさせて頂きたいです。」


「...シファー?」


急にシファーは血相を変えて襲い掛かって来た。


「ぐぁぁ!!死ねぇ!!勇者!!ユウマ!!!!!」


「くっ、シファー...!クソ瘴気か、だがここは聖魔法が掛けられているはずだ、なのにっ!」


「シファーさん!やめてください!」


フィーンに気を取られたシファーは、すぐに襲い掛かった。


「馬鹿野郎、フィーン!」


「やらせません!」


いつのまにかリクがフィーンの目の前にいた。だがフィーンはリクを後ろに庇った。


シファーがフィーンに襲いかかったその瞬間。


「おい!!」


「フィーン!!」


「フィーン様!!」



「スケーバース・シューティング・リバース!」


フィーンはまたその魔術を使用した。


シファーはすぐ崩れ落ちた..そこから黒い影らしきものが姿を現した。


「魔王!!駆除!!」


ほぼダメージがない様に見えた、俺の魔法じゃ勝てない明白なくらい、魔力の差がデカかったz


黒い影は苦しそうに言葉を喋った。


「死ね!!!!!魔王!!」


「そこまでです」


聞き覚えのある透き通った声。


「クリーン!静かに眠りなさい、瘴気。いいえ、カタラ」


黒い影は浄化されたかの様に消え去ってしまった。


「結界を分析してる時に移されたのね」


「あ、、あなたは!」


エルフたちは皆首を垂れた。目を覚ましたシファーも自分の目を疑った。


そこ現れたのはセスティ其の者だった。


セスティ「間一髪だったわね、ユウマ元気にしてる?」


みんな口をポカーンと開けることしかできなかった。

するとセスティの体は光は始めた。


「そろそろ時間ね、言えることは言うわ。さっきの黒い影は瘴気であり、カタラと呼ばれるモノよ。その正体は「XX」よ...」一瞬だけだが声が聞こえなくなってた。


「邪魔されちゃったわね、最後に一個言わせて、シファー、魔導用具エアタイは「魔王」が作ったものなの。貴方ならこの意味が分かるはず、頭が切れてるもの、全ての疑問はアハムに着いたら解けるから、急い」


言い終える前に、セスティの姿は消えてしまった。


シファーは信じられない顔をしていた、俺は眉の皺を寄せた


「つまり魔力の流れが同じ《始まりの書》も.....魔王が作ったのか...?」


「そんな....魔王が?それってつまり...っ...」


シファーは疲れのせいか気を失ってしまった。エルフたちは急いで彼女を部屋へ運んだ。


フィーンも疲れて眠ってしまった。


俺はこの隙に、リクにとある質問をした。


「リク、お前は俺の気配察知の魔法を括り抜けられる。さっきともいい、初めてお前に会った時も、ロゼリアが操られた時も。何か特別な魔法でも使ったのか?」


「それは、僕は祝福をもらっているからなのです。」


「祝福?セスティのか?」


「いいえ、勇者の祝福です。」


「....勇者の...?」


俺の頭の中は疑問だらけだった。リクが勇者の祝福を?魔王とセスティと勇者がエルフの森の結界を...じゃあガーベストの結界も?だったら認識阻害は?

魔王がエアタイを生み出した...《始まりの書》も魔王が?ならなぜその本の中で自分と敵対するように書いたんだ? まさか....魔王と勇者は敵対じゃなかった?いやそもそも1500年も時間が経ってるんだ、まだ生きているのか?魔王は...









1500years ago


ロゼリアと引き分けになったユウマ。


「お前、強いじゃねえか、巨人と、引き分けになるなんて、人間は全員軟弱かと思ってたぜ...」


「舐めんなよ、人間を...っロゼリア。俺たちの仲間になってくれ。 エルフ、女神、人間、魔王...巨人であるお前も加われば...奴らに勝てる」


「女神に魔王って、、マジかよお前すごいな」


「すごいのは俺じゃない。俺の親友だよ。あいつの無念を晴らすためにも...」


「私を仲間にした後...まだ仲間を探すのか?」


「あぁ...あと一人、賢者が必要だ。」


「エルフと女神の魔法じゃあ足りねえのか?」


「一人は治癒、一人はサポートだ。だが賢者の魔法は「違う」。人の魔法が必要なんだ。」



ガーベスト王国、近隣の草原にて


シファー「おや、そろそろ来るようだなぁ、お姉ちゃんは嬉しいぞ、ユウマ。(空に向かって大声で)ユウマは頑張ってるわよ、レイジー!」

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神に召喚されたのだが、全てがおかしすぎる件 いちごオレ @ichigoore17502

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