第4話
「こ、ここが……悪魔界……‼」
そこは大勢の人が歩いていて一見すれば東京のようなものだったが決定的に違うところが二つあった。一つ目は空がずっと曇りだということ。二つ目は人々が耳長だということ。エルフ的なやつか、と思うと違うらしい。悪魔はふつう、みんなそうだという。まあ、一応耳が長くない奴はごく一部いるらしい。
「試験会場はあっち。グラウンド見えるだろ?」
「うん」
俺たちはさっそく試験会場に向かった。試験会場には大勢の人がいた。みんなは俺を見た瞬間顔を真っ青にしてガクガクと震えだした。
『おい、何がどうなってるんだ?』
俺とデイビッドは思念伝達で通話できるようになっている。
『耳が長くないからめっちゃできるやつ、と思われんたんだろ』
デイビッドの話によると耳が長くない種族は悪魔族の中で1%程度らしい。そしてその種族はめちゃくちゃ強かったんだとか。
「あ、あの……申し訳ございませんが、あなた様のお名前を教えていただきたく……」
こういう時はどうすればいい? ど、どうすれば? まあ、とりあえず偉そうにしよう。
「オッホン! ええ、皆の者、俺の名が知りたいのだな?」
「「「は、はい!そうでございます!」」」
一同頭を下げてひれ伏す。まあ、一種の絶景だな。悪くない。
『おい、デイビッド。名前はなんて答えたらいい? 颯太って答えたら人間だとばれるぞ』
『実はさ、エントリー名、バレるかなと思って仮名で出したんだ。確かね、僕はロウンって出したからそれでお願い』
こいつは俺の名前までも勝手に変えやがったのか。後でシバきたい! 無理だけど。
「俺の名はロウンという! よろしく!」
「「「ハハー! ロウン様ー!」」」
悪い気はしない。これでこいつ等は大丈夫……多分
試験が開始された。全部で五つ試験があるらしい。一つ目は岩を3メートル持ち上げる、だった。今まで散々やってきたのだ。できるはずだ。そう思ってやったら大変なことになった。加減が難しい。3メートルのところ、10メートルも持ち上げてしまったのだった。
「「「おおおー‼」」」
どよめきが広がった。いや、俺もまさかこんなことになるとは思ってもいなかったんだ。本当だから。
「おい、見ろ‼ あそこ! ホープが30メートルも持ち上げてるぞ!」
なんだとぅ⁉ ホープ⁉ やべえぞ、コレ。
「……加減が難しい……」
暗っ。え? 暗っ。もうちょっと荒々しいイメージだった。そこにいたホープは緑の髪に緑の瞳。デイビッドと同じくマントを羽織っている。なんか、優しそう! これはラッキー! ……かも
『ホープ⁉』
するといきなりデイビッドが叫んだ。わざとじゃないかもしれないけど頭が痛くなった。今ので。ガンガンするんだけど。
「……貴様か。俺の友人とつるんでいるにん……奴か」
あれ? 今、人間って言いかけた? 今、人間って言いかけたよね? じゃなきゃ何なんだよ! 人参か? それともニンニクか? 違うだろ! 人間以外ありえないだろ!
「……試験が終わったら俺の部屋に来い。いいな?」
「はい……」
嫌われた気がする!
二つ目の試験は水の上を走れ、だった。忍者みたいだな。まあ、楽勝でいけた。いちいちみんなからどよめきが来る。は? 簡単だろ? と思って後ろを振り返ったらみんな魔力が足りないのか水の中にドボン! で終わった。生き残ったのは十数人。もちろんホープもその一人だ。あ、俺もね?
三つ目の試験は筆記テスト。魔法に関しての知識が試される。だが、俺はカンニングした。あ、いや人のを見たわけじゃなくてだな、わからないところはデイビッドが教えてくれたため合格した。さっきの十数人から5人脱落した。残った人を数えてみたら13人だった。
四つ目の試験はほうきにのれ、だった。もはや悪魔など関係ない。魔女である。魔法使いである。悪魔のひとかけらもなかった。これは予想していなかったのか生き残ったのは9人だった。
五つ目の試験は校長先生との面談だった。優しそうな顔立ちでひげがのびているおじいさんだった。ただし目はらんらんと輝き、まったく笑っていない。むしろ怖い。将来、どこに行きたいか、学校でどんなことをしたいかの二つを聞かれた。俺は将来は人の役に立ちたい、学校では魔法についてしっかり学んで将来に役立てたいと答えた。俺は合格。ホープもだ。合格した者はたったの5人だった。
人間だけど悪魔学校に入学します @iiyo123123
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