「駅の改札でSuicaではなく果物のスイカを叩きつける」話は多分嘘

一文目は割合真っ当なことを書いているから良いが、二文目「あとは手のひらから無限にストロングゼロの青りんご味が出てくる能力も欲しい」はおかしい。
三文目にある「ついでにタバコも手のひらから無限に生み出せるものとする」になるとさらにおかしい。

一文目には「手のひらから無限に唐揚げを生み出せる能力が欲しい。(ほっともっとの唐揚げ弁当と全く同じ唐揚げが出てくるものとする)」とあり、多くの人に共感されそうな事が書かれている。

そこからどんどんおかしな方向にエスカレートしてしまい「あるある」ネタとして成立しない程クズいことを書いてしまっている。
「手のひらから無限に」「出てくる能力」などという理想を掲げるなら、「ストロングゼロの青りんご味」よりもっと高級な酒を欲求して欲しい。
その「高級な酒」を知らぬほど本品を書いている人間は貧乏なのだろうか。

この作品が本当に「エッセイ・ノンフィクション」なら筆者は「酒クズでニコチン中毒(ほっともっとの唐揚げが好き)」ということになる。
そんなガチクズは現代日本においてそうそういない筈である。
したがってこの作品は本当は「ノンフィクション」ではなく、大いにフィクションを織り交ぜているのではないか。

しかしそんな期待はあえなく打ち砕かれる。
本文の最後に「Unknown、エヴァに乗れ」というフレーズが載っている。
「Unknown」とは作者のペンネームである。
だからこの作品における「俺」は「Unknown」氏と同一なのだ。

ところで本作のタイトルに掲げられている
「駅の改札でSuicaではなく果物のスイカを叩きつける」
というエピソードは確かに本文中に存在する。
しかし私はこのエピソードが丸っ切り嘘なのではないかと疑っている。
たとえ「俺」が「Unknown」氏であったとしても信じられないのである。

なぜ疑うのか理由を言うと、
「Suicaではなく果物のスイカを叩きつける」エピソードの後に述べられているのが
「スイカ割りをした際、『前前前前』と言われ過ぎてブラジルへ到達した」話だからである。
この話は明らかな嘘だ。

この「ノンフィクション」は「本当の話→本当らしい誇張された話→大嘘」というように嘘がエスカレートするかたちで綴られているのではないかと考える。

だから「Suicaではなく果物のスイカを叩きつける」話は「スイカ割りをした際、ブラジルへ到達した」話よりは本当らしいものの大いに脚色されており「嘘」と言ってよい程フィクショナルに語られているのではないか。

それはそうとして一読の価値はある「エッセイ・ノンフィクション」である。