第2話 犯人は

「梨花!早く起きて!雪乃を殺した、犯人が分かったらしいのよ!」

朝、お母さんの叫び声で目が覚めた。ちなみに、梨花とは私の名前だ。雪乃は冬に生まれて、私は秋に生まれたからこの名前が付いたと言われている。

「え?!分かったの?!教えて!」

私は、ベットから飛び起きてお母さんと同じく叫んだ。そうすると、お母さんは顔を少し顰めて、こう言った。

「実は………。宮野花乃という子が雪乃を殺したらしいの。梨花、宮野花乃にいじめられていたでしょう?」

ズキッ。私のイヤな予感が的中した。でも、一つ疑問がある。

「…え?何でいじめのこと知ってるの?」

実は、私はお母さんにいじめのことを秘密にしていた。お母さんに心配をかけたくないから。でも、バレていたんだ。私は、お母さんの近くに寄る。

「実はね…とても不思議な事なんだけど…。一昨日の夜、夢の最初に宮野花乃と名乗る女の子が出てきたのよね。その子は、梨花をすごくいじめていたわ。夢と現実は正反対というから、起きた時に梨花と宮野花乃は仲良しなのかな、と最初は思ったのよ。でも、その夢が終わって、目が覚めたの。その頃は、まだ12時くらいだったかしら。だから、私はもう一回寝たのよね。その夢では、なぜかまた宮野花乃が現れたわ。そして、雪乃のことを包丁でグサっと。その後に、頭をバットで打ったのよ。ガツ!って、鈍い音が辺りに響いていたわ。そして、結局雪乃は死んでしまった。ねえ、これは、現実と全く同じでしょう?だから、昨日の朝に、もしかしてと思って、梨花に内緒で梨花のクラスの子に聞いたの。そうしたら予想と同じ通り、「梨花は、宮野花乃にいじめられてます」「私は怖くて注意ができなかった」「こうなったのは、放っておいた私たちのせいです」と言っていたのよ。だから、朝は、もしかしたら雪乃が殺されるんじゃないかって思っていたのよね。」

お母さんが、淡々と語り出した。お母さんの話を聞いて、私も一昨日の夢を思い出す。確かあの時の夢は、私が宮野花乃に殺される夢だった。私は、一瞬時が止まったかのように、頭が真っ白になった。

「ねえお母さん。私も、一昨日の夜の夢に、宮野花乃が出てきたよ。その時は、私が宮野花乃に殺される夢だったんだ。もしかしたら、次は私かも………」

「え……。それ、どういうことよ…。もしかしたら、あの宮野花乃という子は、私たちを全員殺そうとしている、ということ…?」

お母さんが、もう一度顔を顰めた。私は、ゆっくりと、覚悟を決めてうなずいた。

「…梨花。これは……引っ越したほうがいいわね。次は梨花が殺されるかもしれない。その次はお父さんか私…。もしかしたら、お父さんの夢には私が、雪乃はお父さんが殺される夢でも見たんじゃないかしら。でも、雪乃のことは確かめられないわ。もう、この世にいないもの。」

「……私決めた。私、絶対に引っ越す!宮野花乃に、好き勝手はさせない!私の家族は、私たちが守るんだ!」

お母さんは、一瞬私を見てなぜか驚いていた。そして、

「…ええ。早く引っ越しの準備をしましょう。宮野花乃には知られずにそっと、ね。」

と返事をした。これで被害者がいなくなればいいな…。私は、犠牲になった雪乃のことを心に残し、決意した。

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